「ジキル&ハイド(1995)」のストーリー

19世紀末。ヴィクトリア朝下のロンドン。奉公人メアリー・ライリー(ジュリア・ロバーツ)は早朝帰宅した主人、ジキル博士(ジョン・マルコヴィッチ)から「手と首筋の傷はどうした?」と声をかけられる。思慮深く優しい彼に、働きだして早々にひかれていくメアリーだが、奉公人頭で執事のプール氏(ジョージ・コール)は口喧しく注意する。彼の注意をよそに博士はメアリーと親しくなり、いろいろと用事をいいつけるようになる。メアリーは自分の傷は、アルコール中毒の父(マイケル・ガンボン)の折檻のせいだと打ち明けた。が、ある日、彼の言いつけで、街の娼館の主人ファラデー夫人(グレン・クロース)宛ての手紙を託された彼女は、博士に秘密があることを感づく。ほどなく、博士は奉公人たちを集め、今後ハイド氏(ジョン・マルコヴィッチ=二役)なる人物が夜中に出入りするが、自分と同じように待遇せよと命じる。ハイド氏は粗野で下品な若々しい男で、博士とは正反対の人物だが、無理な注文ばかり奉公人たちに押しつける。メアリーは博士がハイド氏のために娼館の滞在費用を出していたことを知って、不審を強める。ハイドはメアリーに博士にしか話していないはずの自分の心の傷を告げ、メアリーは混乱するが、彼に博士にはない魅力を感じもする。メアリーは博士の代理でファラデー夫人から娼館の血まみれの部屋をみせられ、ハイドの乱行を知った。ファラデー夫人はハイドの件で館に乗り込んでくる。ところが博士が応対していたはずなのに、突然ハイドが現れ、メアリーに「夫人はお帰りになった」と告げる。一体二人はどういう関係なのか?メアリーの母が死んだ。メアリーは休みをもらい、貯金をはたいて立派な葬式を出した。墓地には父が待っていてこれからたびたび会って欲しいと頼むが、彼女は拒否する。帰り道。メアリーは警官に追われるハイドと鉢合わせ。「会うのはこれで最後だ」と言い捨て逃げ去るハイド。彼は学生時代の同級生でもあった悪友の議員を娼館で撲殺したのだ。博士の衰弱が目に見えて著しくなっていた。今まで製造できた薬品がつくれなくなったからだという。日夜博士のために雑用を引き受けるメアリー。ところがある晩。姿を消したはずのハイド氏が姿を現した。彼は驚くべき事実を告白する。「ジキル博士とハイド氏は同一人物だ。お前も分かっていたはずだ」と。メアリーが見守る前で二人の人格は破滅した。メアリーは二人の死を見届けると館を後にした。