「ウルフェン」のストーリー

ニューヨークの旧オランダ街、バッテリー・パークで大富豪のクリストファー夫妻が変死体となって発見された。この難解な事件の捜査を担当することになったニューヨーク市警の刑事ウィルソン(アルバート・フィニー)は、現場を探りながら、何者かの不気味な視線を感じていた。何者によるかの見通しが全然つかぬまま、ウィルソンは、女流心理学者レベッカ(ダイアン・べノーラ)とチームを組むことになる。テロリスト専門の彼女のリードで、その筋を調査するが全て無駄に終わる。やがて、アメリカの各地から失踪事件が相次いで起こり、バラバラ死体の数が増した。2人は、殺されたクリストファーの身辺を探るうち、ある事実につきあたる。それは、クリストファーの祖父に当るオランダ人で、マンハッタンの近代化を計ったピーターという男が、17世紀の中頃に突然姿を消したということだ。そして、さらにウィルソンは重要な手がかりを得た。クリストファーの妻の死体から狼の毛が発見されたこと、関係したすべての地名がオランダ語に由来していること等だ。狼の毛を分析した生物学者のファーガソン(トミー・ヌーナン)に狼の賢さを説かれ、早速原住民族解放運動の一員であるインデアン青年エディ(エドワード・J・オルモス)を訪ねたウィルソンは、彼から「狼はマンハッタンを取り戻したいのだ」という呟きを聞いて衝撃を受ける。ある夜、ウィルソンは、狼よりも大きく知的な眼をもった生物ウルフェンの影を、フロントグラス越しに遂に目撃した。ファーガソンもウルフェンに殺され、レベッカと共にクリストファーのペントハウスに赴き、一族の繁栄を物語る品々を目にする。建物を出ると、ウルフェンが待ちうけていた。一瞬のうちにそこに来ていた上司が噛み殺され、2人はペントハウスに逃げ込んだ。ウルフェンが鋭い眼光でウィルソンを見つめている中、彼は、拳銃の弾丸を抜きとり、応接間に飾ってあった土地開発のプロジェクト模型を破壊した。それを見たウルフェンは静かに去り、入って来た警察に、ウィルソンは「犯人はテロリストだった」と答えるのだった。