山崎育三郎が主演するミュージカル『トッツィー』が、1月10日、東京・日生劇場で開幕。前日の9日にゲネプロが披露された。

日本では1983年に公開された映画「トッツィー」(82)。「クレイマー、クレイマー」(79)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したダスティン・ホフマンは再びオスカーにノミネート、ヒロインのジェシカ・ラングは助演女優賞を受賞した。ちなみに83年のキネマ旬報ベスト・テンでも読者選出外国映画第1位に選出、日本のテレビでも幾度も放送された、映画ファンにはおなじみの名作。

2019年にミュージカルとなるや、トニー賞ミュージカル部門最優秀脚本賞と主演男優賞を受賞、11部門にノミネートされブロードウェイを席巻した。
 

舞台はニューヨーク、ブロードウェイ。映画でダスティン・ホフマンが演じたマイケル・ドーシー/ドロシー・マイケルズを山崎育三郎、ジュリーを愛希れいかが演じる。

こだわりが強すぎて演出家と衝突してばかりいる失業状態の俳優マイケルが、仕事ほしさあまりに、女性俳優ドロシー・マイケルズになりきって受けた女性役のオーディションになんと合格。それまで煙たがられてきた言動が、敏腕プロデューサー・リタに気に入られ、ひいては脚本まで書き換えられて作品のタイトルロールに! しかし、友人としても絆が結ばれつつあった共演者のジュリーに本気で恋をしてしまったり、男性俳優から惚れられてしまったり……とオリジナルを踏襲しながら、当時の社会風刺は現代の視点で書き換えられている。スピーディな音楽にダンス、軽妙な演技とギャグでしっかりと笑わせつつ、作品の本質や普遍性、静かでさわやかな余韻を残した映画の雰囲気も漂わせる絶妙な展開で、ユーモアかつインテリジェンスなコメディ・ミュージカルに仕上がった。

出づっぱりで早着替えを繰り返す山崎育三郎をはじめ、ジュリー役の愛希れいか、ド天然な若手俳優マックスの岡田亮輔(おばたのお兄さんとダブルキャスト)、マイケルの元恋人サンディ役の昆夏美の歌唱、パフォーマンスはもちろん素晴らしく、嫌味な演出家ロン役の芸人エハラマサヒロは面目躍如のエンターテイナーぶりを発揮。また、プロデューサー・リタのキムラ緑子、エージェント役(映画では同作監督のシドニー・ポラックが!)の羽場裕一は、舞台にいる時間こそ短いが圧倒的な存在感を見せつけた。そして映画では実に地味だったが、いい奴だったよなぁとしみじみしてしまう、ビル・マーレイの演じたマイケルの同居人の劇作家ジェフを演じたのは、映画、テレビドラマと引っ張りだこの若き名バイプレイヤー金井勇太。オーディションで役をつかみ、なんとミュージカル初出演! ということも、映画ファンに伝えておきたい。

ミュージカル『トッツィー』は1月30日まで日生劇場にて。その後、大阪、名古屋、福岡、岡山にて。

 

前列左から、昆夏美、愛希れいか、山崎育三郎、キムラ緑子、羽場裕一  後列左から、おばたのお兄さん、エハラマサヒロ、金井勇太、岡田亮輔


 

ミュージカル『トッツィー』

出演:山崎育三郎、愛希れいか、昆夏美、金井勇太、岡田亮輔・おばたのお兄さん(ダブルキャスト)、エハラマサヒロ、羽場裕一、キムラ緑子ほか

音楽・歌詞:デイヴィッド・ヤズベック
脚本:ロバート・ホーン
演出:デイヴ・ソロモン


1月10日(水)~1月30日(火)
東京・日生劇場

2月5日(月)~2月19日(月)
大阪・梅田芸術劇場メインホール

2月24日(土)~3月3日(日)
愛知・御園座

3月8日(金)~3月24日(日) 
福岡・博多座

3月29日(金)~3月30日(土)
岡山・岡山芸術創造劇場ハレノワ

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