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人生に迷う人の背中を優しく押してくれる「バーナデット ママは行方不明」
2024年3月21日2012年に出版され、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーに約1年間リスト入り。アメリカの作家マリア・センプルによる名著『where’d you go bernadette(バーナデットを探せ!)』を映画化したヒューマン・コメディ『バーナデット ママは行方不明』のBlu-ray&DVDが3月20日(水・祝)に発売(レンタルDVD同時リリース)された。 NYタイムズ紙のベストセラー小説を映像化 監督は、実際に劇中の時間経過と同じ12年間をかけて撮影し、ひとりの少年の成長を描いた「6才のボクが、大人になるまで。」(2014)のリチャード・リンクレイター。破天荒で人間嫌いな主人公バーナデット・フォックスには、この役を演じたいと自ら熱望したという名優ケイト・ブランシェット。バーナデットの夫エルジーには「スポットライト 世紀のスクープ」(2015)のビリー・グラタップ、母に優しく寄り添う娘のビーには本作が映画デビューとなるエマ・ネルソンが扮している。 息苦しい現実に限界を感じた主婦がひとりで南極へ! 夫のエルジーと娘ビーと共にシアトルで暮らす主婦のバーナデット。なんの問題もなく幸せそうに過ごしているように見えたが、ビーが中学校の卒業記念に「家族で南極旅行に行きたい!」と言い出したことからバーナデットの心に不安が募り出す。 なぜなら彼女は、旅も人間も大嫌い。大勢の他人に囲まれるのは不可避であろう南極旅行なんて、できれば(本当は絶対)行きたくない。でも、愛する娘の願いだから聞いてあげたい。バーナデットはデリーの仮想秘書“マンジェラ”に旅行券や装備の手配を全て任せ、家族の前では平静を装おうとしていた。 そんな中、娘の同級生の母親で、隣家に住む意識高い系主婦オードリー(クリステン・ウィグ)とトラブルが発生。さらに、かつて天才建築家としてもてはやされつつも夢をあきらめた、自らの過去とも向き合わざるを得なくなっていく。日に日に息苦しさが募るなか、ある事件をきっかけに現実に限界を感じたバーナデットは、忽然と姿を消す。彼女が向かった先は、家族と行くはずの“南極”だった……。 男性支配の建築業界で孤軍奮闘し、最年少で天才(マッカーサー)賞を受賞。環境配慮型建築のパイオニアとして活躍した輝かしい過去をもつバーナデット。ともすればただの高飛車で取っ付き難いキャラクターにもなりそうだが、そこをケイト・ブランシェットは絶妙な塩梅で演じている。彼女がふとした時に漏らす本心、誰よりも家族を愛する優しい心を覗かせる度に、気付けばどんどんバーナデットという人間に魅了されていく。本作で、ブランシェットが10度目のゴールデングローブ賞ノミネートを果たしたのも当然と言えるだろう。 本当の自分を探し、創造し続けることの大切さ 本音を言うと、映画を観ている最中、ずっとバーナデットをとても他人とは思えなかった。筆者も二児の母親だが、劇中でバーナデットが言う、子どもを表現した言葉「破壊者であり創造者」には、深く深くうなずいてしまった。これまで100%自分の仕事に捧げてきた時間や情熱も、子どもが生まれれば半減、さらにはもっと…となっていく母親は多いだろう。でも子どもはこの上なくかわいいし、予想を遥かに超えたものを与えてくれる。そして母親は、家族と生きる道を選んだのは他でもない自分だから、と厳しい現実にも向き合おうとしてしまう。心を少しずつすり減らしながら(でも、それを自分では気付かない)。 シンディ・ローパーの「Time After Time」を、ビーと車の中で歌っていたバーナデットがふいに涙を流すシーンがある。人生の陳腐さにふいに泣きたくなる。でも、些細なことに感動する権利はあるでしょう、と。雨が降っているシチュエーションもあいまって、私は思わずバーナデットを抱きしめたくなってしまった。 人生は創造だ、とまでは言わないが、仕事をしている人でも専業主婦でも、自分の情熱の火を灯し続けることは本当に大切なことだとあらためて思う。今もし火が消えかかっていると感じるなら、この映画を観てもう一度自分を見つめてあげてほしい。他の誰でもない、あなたの人生なのだから。 文=原真利子 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=6IZRnKtipTo 「バーナデット ママは行方不明」 ●3月20日(水・祝)Blu-ray&DVD発売(レンタルDVD同時リリース) ▶Blu-ray&DVDの詳細情報はこちら ●Blu-ray 価格:5,280円(税込) 【ディスク】<1枚> ★封入特典★ ・オリジナルステッカー ●DVD 価格:4,180円(税込) 【ディスク】<1枚> ★封入特典★ ・オリジナルステッカー ●2019年/アメリカ/本編108分 ●監督・脚本:リチャード・リンクレイター ●出演:ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、クリステン・ウィグ、エマ・ネルソン ●発売・販売元:バップ © 2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved. -
綾瀬はるか主演×森井勇佑監督の不思議なロードムービー「ルート29」
2024年3月21日綾瀬はるかを主演に迎え、「こちらあみ子」の森井勇佑監督が中尾太一の詩集『ルート29、解放』に着想を得て撮り上げたロードムービー「ルート29」が、2024年秋よりTOHOシネマズ 日比谷ほかで全国公開。場面写真が到着した。 主人公は、必要以上に他者と関わらないトンボ。風変わりな女の子ハルと旅する中で、個性的な人々と出会い、空っぽな心に喜びや悲しみを芽生えさせていくさまを描き出す。 トンボを演じるのは綾瀬はるか、ハル役には「こちらあみ子」で鮮烈なデビューを果たした大沢一菜。不思議な旅の行方に注目だ。 〈コメント〉 綾瀬はるか のり子の心は無限に広がりながら、人との交わりを閉ざしていく中で隙間も広がり、空っぽのようになってる人。風のようにゆらゆらとしながら過ごしていたある時、風がわりなハルと出会い旅をして、その途中奇妙な人たちとも交わり、のり子の心に吹く風も表情が変わりはじめます。悲しみの一滴、喜びの一滴と空っぽのような心も少しずつ満たされ、ハルとの旅も終わりを迎えていきます。どこまでが現実で、どこまでが非現実か、ハルとのり子の不思議な旅、冒険をご一緒するように観て頂きたいです。 (※のり子はトンボの本名) 大沢一菜 監督とまた一緒にやれると聞いて“やったー”と思いました。綾瀬はるかさんと一緒だと聞いてさらに“やったー”と思いました!撮影は暑くて大変でしたが、綾瀬さんと一緒にアクションごっこしたり、買ってきたチョコやお菓子を一緒に食べてくれて楽しかったです。 たくさんの皆さんに観てほしいです。 森井勇佑監督 この映画は、中尾太一さんが書かれた詩がもとになっています。ざわめきを感じる言葉たちに取り囲まれ、想像をめいっぱい広げて作りました。奇妙なものや不思議なものに触れること、そうすることでしか得られない生の実感があるのではないかという思いを根底において、現代のおとぎ話のようなものを目指して取り組みました。 トンボを演じた綾瀬はるかさんとは初めてのお仕事でしたが、ご自身のなかの宇宙が独特でおもしろい方だと感じました。その宇宙が、トンボという役をとても豊かなものにしてくれたのだと思います。綾瀬さんがあのときに生きたトンボという人間が、僕はとても好きです。 ハルを演じた大沢一菜さんは、どうしてそんな表情が出来るのかと思わされる驚くような瞬間が何度もありました。大沢さんとお仕事をするのは2度目ですが、新しい表情をたくさん見せてくれたこと、とても嬉しく感じました。 独創的な取り組みをしてくれたスタッフたち、生き生きとカメラの前に立ってくれたすべての出演者たちと一緒に、この映画を作れたことをとても誇らしく思っています。 これからご覧になるお客さまに『ルート29』がどのように届くのか、とても楽しみです。 [caption id="attachment_36490" align="aligncenter" width="850"] 森井勇佑監督[/caption] 「ルート29」 監督・脚本:森井勇佑 出演:綾瀬はるか、大沢一菜 原作:中尾太一「ルート29、解放」(書肆子午線) 製作:東京テアトル、U-NEXT、ホリプロ、ハーベストフィルム、リトルモア 配給:東京テアトル、リトルモア ©︎2024「ルート29」製作委員会 公式サイト:route29-movie.com/ -
新たな魔法に満ちた冒険の旅が始まる。「ハリー・ポッター」「ナルニア国物語」に続けとオーストラリアから誕生した斬新なキャラクター満載のファンタジー・ムービー「シークレット・キングダム ピーターの奇妙な冒険」が3月20日からレンタル開始。キッズムービーとして子供たちに独占させておくにはもったいない、大人も楽しめるファンタジー映画の快作だ。 舞台は地底帝国。少年と妹が大冒険! 本作の舞台になる“秘密の王国”、それは恐怖の力によって封印された地下の世界だ。そこに押し込められているのは絶滅危惧動物センザンコウの姿をした種族。彼らの神話ではある時、予言された王が現れて、闇の世界と光の世界を統一させ、彼らを解放するという。そんな地下世界に、臆病な少年ピーター(サム・エヴァリンガム)は数奇な運命に導かれて迷い込み、妹や仲間と共に冒険の旅を始める。 郊外の古い屋敷に両親と共に引っ越してきた12歳のピーターと9歳の妹のヴェリティ(アリラ・ブラウン)。好奇心旺盛な妹の導きで、奇妙な骨董品店に迷い込んだピーターは、見たことのない文字が刻まれた金属製パズルの一片を手にする。するとその夜、ビーターの部屋の床が崩れ、突如地底の世界が現れる。彼は妹と共に暗く不気味な世界へ落ちていくと、そこは全身ウロコのセンザンコウ一族が暮らす王国。怪物シュラウドの魔力によって世界は地上界と地下界に分断され、王国は時間も停止したという。 予言に描かれた伝説の王として歓迎されたピーターとヴェリティは、停止した世界の大時計を再び動かすため、地底王国の住人たちを連れて隠されたパズルの残りの5つのピースを探す旅に出る。 旅の仲間となるのは予言の歌を知るセンザンコウ族のプリング、巨大な龍のメンダックス、双頭の亀など。予言書には最初は何も書かれていないが、発見したパズルのピースを置くと、不思議ななぞなぞが現れパズルのありかを暗示する。次々と立ちふさがる試練、不思議な建物のスリル、新しい仲間との出会い。ジェットコースターのような展開の中、ピーターは妹や仲間と共に残りのパズルを手にする。ところが最後のピースを発見する直前、シュラウドの魔術で妹が石像にされてしまう。哀しみを克服し、ピーターは最後のピースを手にすることができるのか。そして秘密の地底王国を救うことができるのか──。 視覚効果まで手掛ける新鋭監督のマルチな才能 本作はオーストラリア映画であり、メジャースタジオの潤沢な資金を投入された大作でもない。しかし制作者の情熱とアイデアが詰まった快作であり、映像の肝であるCGIのレベルが驚くほど高い。 センザンコウ族の表情、鼻の頭の湿った感じ、口の周りの産毛のモフモフ感などは大型高画質テレビで見ても充分にリアルだ。恐竜メンダックスも近年の考古生物学の成果を取り入れて、ふさふさの羽毛が全身に生え、とても柔らかそうな質感が描かれている。 ピーターの前に立ちふさがる敵、歯車仕掛けのロボット兵士や、鉄と鎖で構成された手袋の戦士たちも緻密なCGIによって、まるで生き物のように動いている。そのCGキャラたちの独特のキモカワ感覚は、ハリウッド・メジャー映画にはないオーストラリア映画の個性として本作を際立たせている。 こうした質の高いCGIが可能だったのは、監督・脚本を手掛けたマット・ドラモンドがCGI製作会社の設立から映画界でのキャリアをスタートさせているからだ。ドラモンドは本来、視覚効果の監督で本作以前にも多数のテレビ番組などに関わり、映画作品では「ジュラシック・アイランド」(2014)や「セイブ・ザ・ダイナソー」(2017)でも素晴らしい恐竜のCGIを手掛け、監督も兼任してる。 ドラモンド自身がストーリーを考案し、脚本も書いた「シークレット・キングダム」は彼の頭の中にある冒険物語を、最高レベルの視覚効果技術で現実化したものといえるだろう。また、物語の最後に明かされる、主人公ピーターが経験した重いドラマは、もしかするとドラモンド自身の生い立ちに由来しているのかもしれない。 妹役女優の新作は「マッドマックス:フュリオサ」 純白のドレスが美しい(実は彼女の服もひとつの伏線になっている)妹・ヴェリティ役のアリラ・ブラウンはシドニー生まれ、子役として才能を開花させた。本作のほか、シガニー・ウィーバー主演のドラマシリーズ「赤の大地と失われた花」(Amazonプライム)にも出演、2024年5月公開の超大作「マッドマックス:フュリオサ」では伝説の女戦士フュリオサの少女時代を演じている。ハリウッド・メジャー作品での活躍が待たれる大器として、本作の彼女を目に焼き付けておくといい。 さて、本作を最後まで観終わったら、もう一度オープニングから観直してみてほしい。そこには、あっと驚く仕掛けが隠されており、映画の感動もひとしおになる。リプレイはDVDならではの楽しみ方、ぜひご覧いただきたい。 文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社 https://www.youtube.com/watch?v=eJjh8e31oe4 「シークレット・キングダム ピーターの奇妙な冒険」 ●3月20日(水)レンタルリリース ●2023年/オーストラリア/98分 ●監督・脚本・プロデューサー:マット・ドラモンド ●編集:トレント・ミッチェル ●出演:サム・エヴァリンガム、アリラ・ブラウン、アリス・パーキンソン、ベス・チャンピオン、クリストファー・ガバルディ © 2022 LITTLE MONSTER PRODUCTIONS PTY LTD. ALL RIGHTS RESERVED. ●発売・販売元:アメイジングD.C.
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近年、70~80年代のホラー・クラシックにオマージュを捧げた新作映画が注目されている。3月20日にレンタル開始になる「ホビッツベイ」もザラついた映像の中に生理的嫌悪感をそそるクリーチャーを登場させ、往年のB級ホラーテイストにこだわりぬいた作品だ。ことにVHS時代からのホラー映画ファンにはたまらない贈り物といえるだろう。 30年間封印された貯水タンクに、“それ”はまだ生きていた 監督のスコット・ウォーカーはニコラス・ケイジ主演のクライム・ムービー「フローズン・グラウンド」(2013)で成功し高く評価された。そして彼が2作目の長編映画として選んだ本作の題材は、動物型モンスターの登場するオーソドックスなホラーだった。 カリフォルニアでペットショプを営むベン(マット・ウィーラン)とジュールズ(ルシアン・ブキャナン)夫婦のもとへある日、見知らぬ弁護士が訪れ、ベンの母親が遺した土地が発見されたと告げる。はるか遠いそのオレゴン州ホビッツベイの地へ赴くと、そこには絶景のビーチと30年もの間、放置されたままの廃屋があった。娘のレイアや愛犬と共に廃屋で休日を過ごした夫婦は、部屋に残された母の日記と放置された不気味な貯水タンクを発見する。空のタンクを修理して水を張ってみたベンだったが、そこから廃屋の周囲に奇怪な音や影がはびこり始める。ジュールズは母の日記から、不気味な文章を見つけ、不安な気持ちを募らせる。やがて廃屋を訪れた人間が、ひとり、またひとりと姿を消し、災厄は一家と愛犬を襲う──。 プロットはありきたりなホラーといえる。だが監督は演出に徹底的にこだわった。 まず舞台に設定されるのは1978年で、ホラー映画の恐怖を台無しにする携帯電話やスマートフォンは登場しない。乾ききって埃だらけの家の雰囲気は、多くのホラー監督がオマージュを捧げるトビー・フーパー監督「悪魔のいけにえ」(1974)を彷彿とさせる。見えないクリーチャーがじわじわ迫ってくる前半は、幽霊屋敷ホラーの定石を丁寧になぞってサスペンスを盛り上げる。じりじりと焦らされる展開は、まさに70年代ホラーだ。 そして後半、貯水タンクから現れる水棲生物型クリーチャーはマニアならずともニヤリとさせる造形で、腰まで水に浸かるタンクの中で襲われるシーンは「悪魔の沼」(1976)や「ザ・グリード」(1998)、「リバイアサン」(1989)などを彷彿とさせる。貯水タンクの奥に伸びる洞窟の恐怖は明らかにニール・マーシャル監督「ディセント」(2005)を意識したものだ。ホラーファンは鑑賞しながら「やるな」と感じるはずだ。 本作にはさらに、1940年代を回想するシーンも挿入されているが、そこでも監督は50年代のゴシック・ホラー風の陰影あるモノクロ映像を丁寧にトレースする。この映画を単なる商業作品に留めないのは、繋がれたフィルムの中に監督の映画史が封入されているからだ。 「ロード・オブ・ザ・リング」の視覚効果監督が“わざわざ”そうした理由 観客が最も注目するであろうクリーチャーは、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのVFXを手がけたニュージーランドの視覚効果スタジオWETAワークショップのリチャード・テイラーによるもの。驚くなかれ、それはCGではなく、人間が中に入って演じるシリコン製スーツで作られている。そのチープで生理的嫌悪感をそそる造形はまさにVHS時代のホラーの再現。CGでは作り出せない不気味な味がある。 監督のスコット・ウォーカーやリチャード・テイラーが嬉々として「わざわざクラシカルに」を演出しているのは、近年、多くのホラー監督が同じように70年代、80年代のホラー映画にオマージュを捧げ、成功しているからだろう。 例えばジェームズ・ワンの「マリグナント 狂暴な悪夢」(2021)、タイ・ウエストの「X エックス」、ダミアン・レオーネ「テリファー 終わらない惨劇」(共に2022)などは、トビー・フーパー、ブライアン・デ・パルマ、ジョン・カーペンターらの70年代、80年代作品を強烈に意識した作風だった。それは現代の監督たちが幼い頃、当時のVHSホラーに強く影響されていることを意味している。 スコット・ウォーカーもまた本作に関して「子供の頃に好きだったのは70年代、80年代、90年代初頭の映画」と語り、VHSで大量にリリースされていたB級ホラーをリスペクトしている。だからクリーチャーも必然的にシリコン製スーツで作らねばならなかったのだ。ちなみにスーツアクターはレジーナ・ヘーゲマンという小柄な女優だと監督は明かしている。モンスター・スーツを着た水中格闘シーンはとても大変だったようだ。 80年代を中心としたホラー映画へのリスペクトの背景には近年の制作環境ではレイティングやコンプライアンスがマーケティングに強く影響することへの反発があるのかもしれない。しかしウォーカー監督は過去の作品を模倣するだけでなく、よりサスペンスフルに、ウェルメイドにブラッシュアップする作業を怠っていない。観終わったあと、もう一度、懐かしのホラーの名作を観返したくなる副作用のある作品だ。 文=藤木TDC 制作=キネマ旬報社 https://youtu.be/ex0Jy2eiIxI 「ホビッツベイ」 ●3月20日(水)レンタルリリース ●2023年/ニュージーランド/本編約99分 ●監督・脚本・プロデューサー:スコット・ウォーカー ●クリーチャー・エフェクト:リチャード・テイラー ●出演:ルシアン・ブキャナン、マット・ウィーラン、ザラ・ナウスバウム ●発売・販売元:ツイン © 2022 ANACOTT (BEACH) LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED
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ジャッキー・チェンが馬とタッグ。白熱スタントに挑む「ライド・オン」
2024年3月20日「タイガー・プロジェクト/ドラゴンへの道 序章」(1974)での映画初主演から50周年を迎えたジャッキー・チェンの新作が登場。馬を相棒に迎えて再起に挑むスタントマンを描いた「ライド・オン」が、5月31日(金)より全国公開される。ポスターと予告映像が到着した。 香港映画界の伝説とされる元スタントマンであり、現在はエキストラなどの地味な仕事をこなしながら生活するルオ・ジーロン(ジャッキー・チェン)。債務トラブルにより愛馬チートゥが競売にかけられる危機に瀕し、疎遠になっていた法学部生の一人娘シャオバオ(リウ・ハオツン)に助けを求める。 そんな中で、スタントの依頼を受けたルオ。再び危険な撮影現場に立ち、チートゥと共に体を張ったアクションに挑む──。 愛馬との連携アクションは必見。「ポリス・ストーリー/香港国際警察」をはじめとする数々のジャッキー作品のアクションシーンが登場するのも見逃せない。 ジャッキーの日本語吹替を務めるのは、“専属”の石丸博也。2023年3月末に声優を引退していたが、本作のために限定復活する。字幕版と吹替版、ともに楽しみたい。 https://www.youtube.com/watch?v=COZNzjACGcQ 「ライド・オン」 監督・脚本:ラリー・ヤン 出演:ジャッキー・チェン、リウ・ハオツン、グオ・チーリン、ユー・ロン、グアンディ・オン、ジョイ・ヨン、ユー・アイレイ、シー・シンユー、レイ・ロイ、ウー・ジン 原題:龍馬精神 英題:RIDE ON 配給:ツイン 翻訳:小木曽三希子 中国/2023年/126分 ©2023 BEIJING ALIBABA PICTURES CULTURE CO., LTD.,BEIJING HAIRUN PICRURES CO.,LTD.