シャーロック・ホームズの冒険(1970) のユーザーレビュー

シャーロック・ホームズの冒険(1970)

ロンドンのある銀行の保安庫に、死後50年開封禁止となっていたワトソン博士の遺品が開かれようとしていた。それは探偵術を芸術にまで高めた、かの名探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・スティーブンス)と、彼の解いた数々の難事件の記録者であり良き伴侶だったジョン・ワトソン(コリン・ブレークリー)博士の共同生活の記録と事件である。しかし、それはあまりにも彼らの私生活にかかわりがあるため、かくの如き扱いになっていたのだ。それがこの物語である……。ホームズは死ぬほど退屈していた。依頼してくる事件といえば、サーカスの団長が6人のコビトの行方を探してくれとか、ロシア・バレエ団のプリマの求婚とかつまらぬものばかり。ところがある霧の夜、辻馬車の御者が、ずぶ濡れの 美女をホームズの下宿に運び込んできた。女主人のハドソン夫人(アイリーン・ハンドル)もビックリ。女は河に落ちて記憶を失っていたが、握りしめていた荷物預かり証の裏に、ホームズの下宿の住所が書き込まれていたのだった。ホームズは彼女の結婚指輪や衣服から、彼女はベルギー人のエミール・バラドン夫人ガブリエル(ジュヌビェーヴ・パージュ)と探り出す。翌朝、記憶を取り戻した彼女は、鉱山技師の夫が空気ポンプの発明をしたが、ロンドンのヨナ商会に就職して3週間、トンと音沙汰がないという。ところがヨナ商会に行ってみると空き家であり、人の気配のないところに大量のカナリアが飼われていた。不思議なことに、その空き家に投げ込まれた手紙は、ホームズ宛のものだった。そこで彼とワトソンは、手紙の主である兄のマイクロフト・ホームズ(クリストファー・リー)を訪ねる。そこはジオゲネス・クラブといい、そのクラブの会員は国際的イザコザのあるところには必ず一口噛んでいるという妙な会であり、マイクロフトは、ガブリエルが依頼した件から手を引けと言う。しかしこれは逆効果で、ホームズの好奇心をムラムラ湧き上がらせるのだった。彼はここで聞き齧った3つの謎めいた言葉と、カナリアの籠に敷いてあった新聞などから、事件の鍵がスコットランドのネス湖にあると睨み、ホームズとワトソン、ガブリエルは旅立った。第一の言葉は墓場であり、今しも埋葬されんとする棺は、大人用のと子供用のもの。大きな棺を開けると、エミール・バラドンの変死体があった。結婚指輪が変色し、不思議なことに白に変色したカナリアの死骸も入っている。第二の鍵は、古城である。警戒厳重な古城にカナリアの大籠や硫酸の瓶が運び込まれる。ホームズにはもうメドがついたらしいが、他の2人はさっぱり訳が判らない。その夜、3人はネス湖上へとボートを漕ぎ出すが、そこへホームズが待ち受けていたものが姿を現す。そう、ネス湖名物大怪獣である。怪獣はボートを転覆させて姿を消した。第三の鍵は向こうからやってきた。マイクロフトからの晩餐への招待であった。シャンパンの瓶を見ながらホームズは推理を披露する。要は聖書に曰く「巨鯨の腹中にヨナは3日3晩生きていた…」のヨナである。彼らが遭遇したのは、ネス湖の怪獣に見せかけた潜水艦だった。小型実験艦ゆえコビトが運転し、硫酸電池を動力源として塩素ガス発生を探知するため、カナリアを使った。バラドンのポンプはそのためのものだったが、1回目は失敗して彼は死に、塩素のために指輪は変色した…と。しかし、彼の見抜けなかたことが1つあった。この事件の依頼人は麗しきバラドン夫人ではなく、英国と潜水艦開発にしのぎをけずるドイツ帝国であり、夫人はスパイであったのだ。ところがこの世界最初の潜水艦も、その日の貴賓ビクトリア女王(モリー・モーリン)の一喝により、廃棄させることとなった。潜水艦はスポーツマン・シップがモットーの英国らしくないというのだ。そして艦は、ガブリエルと連絡を取っていたスパイ団と一緒にネス湖に沈む。英国一の頭脳が美人スパイに痺れた物語は、ガブリエルが去ったことで終わりを告げる。かくてホームズに、また退屈のムシがつき始めるのだった。
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    2020年11月5日に投稿
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