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山茶花究 サザンカキュウ

  • 出身地:大阪市
  • 生年月日:1914年4月1日

略歴 / Brief history

米屋を営んでいた父・安次郎と母・らくの2男で、兄1人がいる。兵庫県立神戸工業卒業後、上京して32年11月、浅草のカジノフォーリーで歌手としてデビュー、翌33年1月、浅草オペラ館の俳優となる。以後、エノケン劇団文芸部、浅草・万盛座のグラン・テッカールと転々。34年9月、生まれ故郷の大阪へ帰り、あしべ劇場、大劇の松竹ショウに参加、ヴァラエティ・ショウ、ナンセンス・ドラマに出演、35年には花月劇場の吉本ショウへ移るが芽が出ず、俳優をやめて朝鮮へいき実業につく。37年8月、東宝の古川緑波一座に入り俳優に復帰。このとき森繁久弥、松竹ショウで共演していた渡辺篤も加わる。39年3月、吉本興業に対抗して松竹傍系の新興キネマ演芸部が大阪に創立、吉本から人気芸人が引き抜かれたが、そのひとつ、あきれたぼういずはリーダーの川田義雄が吉本に残留したため、その代役に山茶花が選ばれ、益田喜頓、坊屋三郎、芝利英と組んで第二次あきれたぼういずを結成する。このショウ・グループは歌舞伎やオペラをパロディ化したアチャラカ芝居が売りもので、喜頓のハワイアンとヨーデル、坊屋の物真似、芝の声のよさに対して山茶花の神経の働くヴォードヴィリアンぶりが評判で、山茶花もようやく一人前の芸人として認められ、10日替わりのアドリブの多い笑芸修行が、その後の彼の芸の下敷きとなり、引き出しとして役立つ。43年、グループを解散、12月に森川信の新青年座に副座長で入り、44年には浅草・江川劇場に山茶花究劇団を組織して北海道へ巡演したりするが戦局の悪化で解散、移動劇団として命脈を保っていた劇団たんぽぽ水の江滝子一座に加わり敗戦を迎える。敗戦直後の45年10月、劇団山茶花究を再建、解散。のち森川信一座に客演するが、47年、あきれたぼういずを復活、52年の解散までヴォードヴィル界で活躍する一方、帝劇のコミック・オペラ『モルガンお雪』『マダム貞奴』(51)に越路吹雪の相手役で出演する。映画出演は46年の東宝「聟入り豪華船」を最初に松竹の「満月城の歌合戦」(47)などのアチャラカ物に出演。54年からは映画に本腰を入れ、東映の「満月狸ばやし」(54)や森繁主演の日活「スラバヤ殿下」(55)などに出演するが、はじめは平凡な三枚目役がほとんどであった。ところが55年9月の東宝、豊田四郎監督「夫婦善哉」に森繁の推薦で番頭役を演じて人気と実力を決定的にする。ここで彼は、森繁ふんする“のれんにもたれて麩(ふ)を噛んでいるような”たよりない主人公・柳吉が廃嫡されたあと、船場の化粧問屋の婿養子におさまる大学出の、机の上のタバコの灰まで気にするような嫌味で神経質なカタブツを大きな目玉のアクの強いマスクにキザなふちなし眼鏡をかけ嫌味たっぷりに演じたが、森繁の七色の球をあやつるがごとき巧みな変化球演技に対して山茶花は球質の重い直球一本の演技と対照的で、それだけに世間の注目をあびた。森繁のアドリブも飛び出す八方破れの演技にかき回されて自分のペースをとかく乱した俳優が多いなかで、山茶花はあくまで自分のペースを強固に守ったのは生まれが五寅のせいかもしれないが、酒席でも芸人らしい如才なさを見せる反面、自分を大切にするシンを確固ともって、経歴から何でも屋のように見えながら決してそうではなく、相手の芝居に合わせるテクニックを身につけながら自己主張をして見せる芸の持ち主であった。森繁が森繁劇団をもったとき山茶花を参謀格の客演者として大切に遇したことからも、それはうなずけよう。「夫婦善哉」で個性の強い脇役として認められた彼は56年から有能な監督にあいついで起用され、「夜の河」「猫と庄造と二人のをんな」「あなた買います」(56)、「大阪物語」「糞尿譚」「地上」「暖流」「女殺し油地獄」(57)、「氷壁」「暖簾」「巨人と玩具」「駅前旅館」(58)、「人間の条件」「コタンの口笛」「狐と狸」「野火」(59)、「青春残酷物語」「悪い奴ほどよく眠る」(60)、「用心棒」「女は二度生まれる」「悪名」「小早川家の秋」(61)、「雁の寺」(62)、「天国と地獄」「赤い水」(63)、「乾いた花」(64)と、これらに善悪、硬軟両様、さまざまな役柄を芸域広くこなす。そのユーテリティ・プレイヤーとしての面目は、増村保造監督の「氷壁」での、切られたザイルの責任を問われる菅原謙二の山男を終始理解し庇護する上司や、川島雄三の「女は二度生まれる」の若尾文子の見ず転芸者を程よくあしらう遊び人、黒沢明の「用心棒」の丑寅という珍妙な名をもつ、申し分なく戯画的にデフォルメされた悪親分といった役どころに現れている。「女は二度生まれる」ではNHK助演男優賞を受賞した。その名脇役ぶりは60年代後半に至っても衰えを見せず、舞台でも東宝ミュージカル『マイ・フェア・レディ』(63)や『屋根の上のヴァイオリン弾き』(67)に活躍、テレビでも芸術祭奨励賞の『示談屋』(62)やNHKの『太閤記』(65)ほかに快演する。映画は69年の東宝「奇々怪々俺は誰だ!?」以後、遠ざかっていたが71年3月4日、心不全のため死去した。41年6月9日に結婚したすゞ恵夫人との間に子供はなかった。

山茶花究の関連作品 / Related Work

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  • 奇々怪々 俺は誰だ?!

    「ハーイ! ロンドン」の田波靖男と「愛のきずな」の坪島孝と長野卓が、脚本を執筆し、坪島孝が監督した喜劇。撮影は「愛のきずな」の内海正治が担当。
  • 愛のきずな

    松本清張の原作『たづたづし』を坪島孝監督と「燃える大陸」の小川英が脚色したミステリーロマン。撮影は「ドリフターズですよ! 冒険・冒険また冒険」の内海正治が担当した。

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  • 高校生芸者

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  • 喜劇 駅前火山

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  • 喜劇 駅前開運

    「悪の紋章」の広沢栄がシナリオを執筆し、「喜劇 駅前百年」の豊田四郎が監督した“駅前”シリーズ第二十二作目。撮影は「日本のいちばん長い日」の村井博。