吉岡秀隆 ヨシオカヒデタカ

  • 出身地:埼玉県蕨市
  • 生年月日:1970/08/12

略歴 / Brief history

埼玉県蕨市の生まれ。1975年、5歳の時に劇団若草に入り、同年のテレビ東京『大江戸捜査網』でドラマ初出演。77年の野村芳太郎監督「八つ墓村」で、主人公・萩原健一の少年時代を演じて映画初出演を果たし、80年の「遙かなる山の呼び声」では倍賞千恵子の息子役に扮して、山田洋次監督と出会う。これをきっかけに、山田監督の人気シリーズ第27作「男はつらいよ・浪花の恋の寅次郎」81から、渥美清演じる主人公・車寅次郎の甥っ子・諏訪満男役で錚々たるレギュラー出演陣に仲間入りする。自身の成長に合わせて満男のキャラクターも年々成長し、シリーズ終盤の第42作「ぼくの伯父さん」89からは、寅さんに代わって満男の恋愛譚がストーリーの中心に据えられるようになった。この「ぼくの伯父さん」で日刊スポーツ映画大賞の助演男優賞を受賞。渥美の急逝により、95年の第48作「寅次郎紅の花」でシリーズは終了したが、吉岡が演じた満男は、観客にとっても子供や孫の成長を見守り続けるような気持ちで最後まで愛された。これと並行して、81年に始まった倉本聰脚本のフジテレビ『北の国から』にもレギュラー出演。北海道の広大な自然の中で暮らす家族の姿を感動的に描いた同作で、ナイーブな主人公の少年・黒板純を好演し、父・五郎役の田中邦衛、妹・蛍を演じた中島朋子とともに、幅広い視聴者の共感を呼ぶ。連続ドラマの完結後も純と蛍の兄妹の成長を追うように、『'83冬』『'84夏』『'87初恋』『'89帰郷』『'92巣立ち』『'95秘密』『'98時代』と繰り返しスペシャル版のかたちで続編が作られ、特に『'89帰郷』あたりからは、少年から大人の男性へと成長を遂げる過程での純のとまどいや不安が、さまざまな人々との出会いや別れを通して丁寧に描かれる。吉岡もその苦悩と葛藤を等身大の芝居で好演。2002年の最終作『北の国から・2002遺言』まで、視聴者の圧倒的な支持を受ける人気作となる。この国民的な二大シリーズで、いずれも子役から大人の俳優へと成長していく過程がつぶさに描かれたことから、その間、ほかの映画に出演しつつも、吉岡は長く“満男”と“純”のイメージに支配されていく。『北の国から』のチーフ演出家・杉田成道が監督を手がけた「優駿」88、「ラストソング」94や、初主演映画となった鴻上尚史監督「青空に一番近い場所」94、「男はつらいよ」に代わるシリーズ化が目論まれた山田監督「虹をつかむ男」96・97あたりは、役柄の印象もあって、そうしたイメージに自身も観客も縛られてやむを得ない部分はあったが、黒澤明監督「八月の狂詩曲(ラプソディー)」91、山田監督「学校Ⅱ」96、「学校Ⅲ」98、降旗康男監督「鉄道員(ぽっぽや)」99、小泉堯史監督「雨あがる」00、「阿弥陀堂だより」02などの秀作に次々出演しても、どこかで“満男”と“純”のイメージが求められた。しかし、『北の国から』も終了したあとの03年に、まったく新たな代表作に出会う。離島医療の厳しい現実を前に奮闘する青年医師を演じたフジテレビ『Dr.コトー診療所』がそれで、島の人々との心の交流を通して生命の尊さを体現する“コトー先生”は、子供時代の“満男”と“純”を知らないような若い世代のファンからも支持される新しい当たり役となった。こちらもスペシャル版、続編が作られる人気シリーズとなる。以後も、山田監督「隠し剣・鬼の爪」04、佐々部清監督「半落ち」04,「四日間の奇跡」05、小泉監督「博士の愛した数式」06などで好演し、昭和の文学青年に扮して主演した山崎貴監督「ALWAYS/三丁目の夕日」05・07では、日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を二度受賞。12年にはシリーズ第3作「ALWAYS/三丁目の夕日'64」も公開される。テレビドラマはほかに、フジテレビ『少年H』99、NHK『喪服のランデヴー』00、『大仏開眼』10、テレビ朝日『警官の血』09、『遺恨あり・明治十三年最後の仇討』11、TBS『最後の赤紙配達人・悲劇の召集令状64年目の真実』09、WOWOW『CO/移植コーディネーター』11など。02年に『北の国から2002・遺言』で共演した内田有紀と結婚したが、05年に離婚した。

吉岡秀隆の関連作品 / Related Work

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  • 夢みる小学校 完結編

    制作年: 2021
    一人一人の個性を大切にする3つの学校を取り上げ、2023年第32回日本映画批評家大賞ドキュメンタリー部門に輝いた教育ドキュメンタリー「夢みる小学校」に、当時小学生だった子どもたちが中学3年生になった姿を新たに撮影した中学生パート30分を追加・再編集。「いただきます」シリーズのオオタヴィン監督が、子どもファーストに徹する私立きのくに子どもの村学園、公立の伊那市立伊那小学校、世田谷区立桜丘中学校を取材する。脳科学者の茂木健一郎、教育評論家の尾木直樹、文化人類学者の辻信一、作家・高橋源一郎らが出演。吉岡秀隆がナレーションを務める。
  • ゴジラ-1.0

    制作年: 2023
    ゴジラ70周年記念作品、実写版30作目。舞台は戦後の日本。何もかもを失い、「無(ゼロ)」になった焦土に突如としてゴジラが上陸。その脅威的な力で日本を「負(マイナス)」に叩き落とそうとする。戦争を生き延びた人々の新たな闘いが始まる。監督・脚本・VFXは山崎貴。主演は神木隆之介、ヒロインに浜辺美波。第1作「ゴジラ」(1954年)と同じく11月3日に公開。山崎貴監督と白組のVFX技術が高く評価され、2024年3月11日(日本時間)、第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞。日本映画の同部門受賞は史上初。
    85
  • Winny

    制作年: 2023
    革新的ファイル交換ソフト“Winny”開発者の不当逮捕と戦った人々の実話を映画化。“Winny”による違法アップロードが社会問題化。逮捕者が続出する中、著作権法違反幇助の容疑で開発者の金子勇が逮捕され、弁護士の壇俊光らが弁護団を結成する。出演は「草の響き」の東出昌大、「夜明けまでバス停で」の三浦貴大。監督は「ぜんぶ、ボクのせい」の松本優作。
  • Dr.コトー診療所

    制作年: 2022
    累計発行部数1200万部超えの同名漫画を原作に、2003年、2006年に放送されたテレビドラマの映画化。19年前、東京から僻地の離島に赴任してきた外科医の五島健助ことコトー。長年彼を支えてきた看護師の彩佳と結婚し、静かに暮らしていたが……。「川っぺりムコリッタ」の吉岡秀隆、「ホリック ×××HOLiC」の柴咲コウ、「グッドモーニングショー」の時任三郎、「軍艦少年」の大塚寧々らドラマ版のキャストが再集結したほか、「アキラとあきら」の高橋海人、「コンフィデンスマンJP 英雄編」の生田絵梨花が新たに出演。監督は、ドラマシリーズを手掛けた中江功。
  • 川っぺりムコリッタ

    制作年: 2021
    「かもめ食堂」「彼らが本気で編むときは、」の荻上直子の原作・脚本・監督で贈る「おいしい食」と「心をほぐす幸せ」の物語。ムコリッタ(牟呼栗多)とは仏教の時間の単位のひとつ、1/30日=48分のこと。北陸の町を舞台に築50年のハイツムコリッタで暮らす4人の日常が織りなされる。出演は「ひっそりと暮らしたい」と引っ越してきた孤独な男・山田に松山ケンイチ、山田との距離感が近い隣の部屋の住人・島田にムロツヨシ、夫に先立たれた大家の南に満島ひかり、墓石の販売員の溝口に吉岡秀隆といった豪華キャストが集結。荻上監督がこれまでずっと描いてきた人と人がつながることで生まれる「幸せ」と「ユーモア」に包まれ、誰かとご飯を食べたくなるハッピームービーだ。
  • 北のともしび

    制作年: 2022
    「美しいひと」「花の夢-ある中国残留婦人-」の東志津監督が、第二次大戦下、ナチ・ドイツによって設置された強制収容所に送られ結核の人体実験をされた20名のユダヤ人の子供たちと、時代を超えて子供たちの悲劇と向き合う人々の姿を捉えたドキュメンタリー。ドイツ現代史、国際関係史、比較ジェノサイド研究をする歴史学者・石田勇治が監修を務める。語りは、「峠 最後のサムライ」の俳優・吉岡秀隆。