宮下順子 ミヤシタジュンコ

  • 出身地:東京都世田谷区の生まれ
  • 生年月日:1949/01/29

略歴 / Brief history

東京都世田谷区の生まれ。本名・金沢英子。高校卒業後、タクシー会社のOL、喫茶店のアルバイトなどを経て、1971年7月、スカウトされて小林悟監督のピンク映画「私はこうして失った」に出演する。以後、「女紋交悦」71、「寝室日記」「性と愛の条件」「現代日本暴行暗黒史」72など30本以上の成人映画に出演し、白川和子が日活に去ったあとスター不在となったピンク映画界のニューヒロインとなる。72年、日活に引き抜かれて、遠藤三郎監督「団地妻・忘れ得ぬ夜」でロマンポルノに初主演。続いて、同じく遠藤監督の「情婦」72で泥沼のような生活から這い上がろうとするキャバレーのホステスを、曽根中生監督「熟れすぎた乳房・人妻」72では倦怠感に陥った人妻を好演して、ロマンポルノを引退した白川和子の穴を埋めるべく、白川の当たり役だった「団地妻」シリーズを受け継ぐ。同シリーズは「団地妻・雨やどりの情事」77までの5年間で断続的に9本作られ、日活ロマンポルノの代表作になった。この間、73年には永井荷風原作、神代辰巳監督の「四畳半襖の裏張り」に芸者・袖子役で出演。精緻を極めた神代演出に応えて、技巧の限りを尽くした性愛シーンを情感豊かに演じ、彼女とロマンポルノの世評を高めた。神代作品への参加はこれ以降、「四畳半襖の裏張り・しのび肌」「赤線玉の井・抜けられます」74、「壇の浦夜枕合戦記」77があり、ロマンポルノ路線の成熟に寄与する。75年、昭和の猟奇事件として知られる“阿部定事件”を田中登監督が映画化した「実録阿部定」では、実在の阿部定を哀切かつしなやかに演じて代表作の1本にする。田中作品では「江戸川乱歩猟奇館・屋根裏の散歩者」76、「発禁本『美人乱舞』より・責める!」77にも出演し、神代、田中両監督作品で女優としての演技力に研きをかけていった。その演技力と存在感は、中上健次原作、神代辰巳監督の「赫い髪の女」79で頂点に達する。男と体を合わせることでしか生を実感できない、不安を消せない女を自然体で演じて高い評価を得て、報知映画賞の主演女優賞を受賞。この前年の78年より一般映画への出演要請が相次ぎ、岡本喜八監督「ダイナマイトどんどん」78と五社英雄監督「雲霧仁左衛門」78では、ブルーリボン賞助演女優賞を受賞している。30歳を迎えようとしていた79年にフリーとなり、大映製作、松竹配給の山根成之監督「黄金の犬」、野村芳太郎監督「わるいやつら」に出演。大作に相応しい存在感を示す。以降、「真夜中の招待状」「悪霊島」「とりたての輝き」81、「飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ」「えきすとら」82と続く。この頃の注目作は、中川信夫監督の遺作となった「怪異談・生きてゐる小平次」82で、ふたりの男に愛される女・おちかを艶めかしく演じた。崔洋一監督「十階のモスキート」83、降旗康男監督「魔の刻」85、柳町光男監督「火まつり」85、澤井信一郎監督「早春物語」85、「恋人たちの時刻(とき)」87、小川紳介監督「1000年刻みの日時計・牧野村物語」87、三國連太郎監督「親鸞・白い道」87など、新人・中堅監督の作品に多く出演する。90年代以降は脇役で存在感を発揮。錦織良成監督「白い船」02ではヒロインの母親、黒木和雄監督「美しい夏キリシマ」03では戦争で精神のバランスを崩していく少年の叔母、哀川翔主演の「デコトラの鷲(しゅう)」シリーズ03~08ではトラック運転手の溜まり場になっている食堂の女将、日向寺太郎監督のデビュー作「誰がために」05では主人公の母親役を演じた。テレビドラマは、73年のTBS『風の中のあいつ』で初出演以来、NHK『岩窟王』79、『立花登・青春手控え』82、『大仏開眼』『チャンス』10、テレビ朝日『赤穂浪士』79、『花吹雪女スリ三姉妹』88~91、TBS『白昼の死角』79、『夜明けのタンゴ』80、『白き牡丹に』82、『赤い指』11、日本テレビ『名もなく貧しく美しく』80、フジテレビ『はるちゃん3』99など多数がある。

宮下順子の関連作品 / Related Work

作品情報を見る

  • 農家の嫁は取り扱い注意 Part1 天使降臨篇

    制作年: 2021
    「れいこいるか」のいまおかしんじ監督によるエロティック・コメディ。農家の嫁・瑠美は夫と姑の3人暮らし。だが夫は夜の営みに消極的で、唯一の気晴らしは女友達とスナックでカラオケをすることだった。そんなある日、瑠美は訳ありな老婦人・貴和子と出会う。出演は、グラビアアイドルのフミカ、「オトナの恋愛事情」の丸純子、「悲しき天使(2020)」の和田瞳、日活ロマンポルノの代表的な女優として多くの傑作を生み出してきた宮下順子。
  • 農家の嫁は取り扱い注意 Part2 有機ある大作戦篇

    制作年: 2021
    いまおかしんじ監督によるエロティック・コメディ「農家の嫁は取り扱い注意! Part1天使降臨篇」の続編。ようやく農家の生活に慣れてきた瑠美。ある日、夫の優作が怪しい有機栽培の投資ビジネスに騙されているのではないかと疑念を抱いた瑠美は、優作を尾行する。出演はPart1に続き、フミカ、丸純子、和田瞳、宮下順子、石橋保。
  • 新 デコトラのシュウ 鷲

    制作年: 2021
    哀川翔主演による人気シリーズが12年ぶりに復活。デコトラのイベント会場に来ていた演歌歌手・高宮すずめに一目惚れしたトラック野郎の鷲一郎。だが彼女は占い師から死を宣告されていた。別れた父親に会いたいというすずめの思いを叶えようと鷲一郎は旅に出る。共演は「L・DK」の剛力彩芽。監督は2003年の第1作「デコトラの鷲 まつりばやし」からシリーズ全作を手がける香月秀之。
    46
  • 罪の声

    制作年: 2020
    グリコ・森永事件をモチーフにし2016年週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位に輝いた同名小説を映画化。記者の阿久津は昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ取材を重ねる。一方俊也は事件の脅迫テープに自分の声が使われていたことを知り……。監督は、TBSテレビに所属し『カルテット』など数々のTVドラマの演出をするほか、「映画 ビリギャル」など映画監督としても活動する土井裕泰。「人間失格 太宰治と3人の女たち」の小栗旬と、ミュージシャンや文筆家としても活躍する星野源が、未解決事件に翻弄され人生が交錯する二人の男を演じる。
    89
  • 瞽女 GOZE

    制作年: 2019
    最後の瞽女(盲目の女旅芸人)といわれた小林ハルの苛酷な人生を映画化。生後3ヶ月で失明したハルは7歳で瞽女になり、8歳のときに初めて巡業の旅に出る。だがその年、病が悪化して母トメが他界。ハルは鬼の様に厳しく躾けられた母に涙一つ流すことはなかった。出演はTV『グランパ2』の川北のん、「罪の余白」の吉本実憂、「小さな恋のうた」の中島ひろ子。監督は「少女戦士伝シオン」の瀧澤正治。2020年8月8日より新潟県先行公開。
  • 猫カフェ

    制作年: 2018
    実写映画初主演となる声優の久保ユリカが、24匹の猫に囲まれながらお客さんの相談に乗る猫カフェの店主を演じる4話オムニバスのヒューマンドラマ。どこにも馴染めないのが悩みのアイドル志保、母の介護に明け暮れる沙世など、様々な客が猫カフェを訪れる。出演は、アップアップガールズ(仮)の新井愛瞳、ドラマ『チアダン』の小倉優香、「犬神家の一族」の池内万作。監督は、「それ それがやって来たら…」の沖田光。
    40

今日は映画何の日?

注目記事