田中泯 タナカミン

  • 出身地:東京都
  • 生年月日:1945/03/10

略歴 / Brief history

東京都の生まれ。都立武蔵高校を卒業後、クラシック・バレエとモダンダンスを学び、東京教育大学を中退した1960年代後半より、前衛と伝統の融合を求めてソロダンス活動を開始する。77年、磯崎新、武満徹プロデュースによるパリ秋季芸術祭『日本の間』展に参加し、海外にもデビュー。81年から多国籍の舞踊グループ“舞塾”を率いて、各地で公演を行なう。85年、山梨県に“身体気象農場”を開設して農業と舞踊との同時実践を図り、96年には同じく山梨県に“舞踊資源研究所”を起ち上げて“舞塾”と合体、世界のあらゆる芸能を採集して記録するネットワーク作りを推進する。2000年より“桃花村舞踊団”を旗揚げし、国内外で独自の活動を展開。フランス政府シュヴァリエ勲章、舞踊批評家協会賞、サントリー地域文化賞、日本現代藝術振興賞など、舞踊界において華々しい受賞歴を誇る。02年、山田洋次監督「たそがれ清兵衛」で映画初出演。藤沢周平作品おなじみの海坂藩の後継者争いに巻き込まれて自らの屋敷に立て籠り、清兵衛と死闘を繰り広げる一刀流の使い手・余吾善右衛門を、舞踊で培った豊かな身体表現をフルに発揮して力演し、キネマ旬報賞新人男優賞のほか、日本アカデミー賞では最優秀助演男優賞と新人俳優賞をW受賞する。続いて、山田監督「隠し剣・鬼の爪」04では、主人公に秘剣“鬼の爪”を伝授する剣術指南役を風格たっぷりに好演。犬童一心監督「メゾン・ド・ヒミコ」05では、迫り来る死と向き合いながら、かねてから確執のあった娘や若い恋人の動向を静かに見守るゲイの男性を、圧倒的な存在感で妙演した。その後も、いわくありげな主人公のかつての恩師に扮した篠原哲雄監督「地下鉄(メトロ)に乗って」06、踊りのルーツをたどりにインドネシアを旅する田中の姿を追った油谷勝海監督のドキュメンタリー「ウミヒコヤマヒコマイヒコ」07、東京の街を彩るありふれた音を拾い集める録音技師を渋く演じたイザベル・コイシェ監督「ナイト・トーキョー・デイ」10、現在と過去をドラマティックに交錯させる写真館の主人役で強い印象を残す成島出監督「八日目の蝉」11などに出演。いわゆる役者とは一線を画す個性は、NHK『ハゲタカ』07、『龍馬伝』『続・遠野物語』10などのテレビドラマでも異彩を放っている

田中泯の関連作品 / Related Work

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  • わたくしどもは。

    制作年: 2023
    小松菜奈と松田龍平がダブル主演を務める“彷徨える魂”の物語。佐渡島の清掃員キイが施設内で倒れている女を発見し、家へ連れて帰る。記憶を失っていた女はミドリと名付けられ、そこで働き始める。ミドリはアオという男と出会うが、彼もまた過去の記憶を無くしていた。共演は「後妻業の女」の大竹しのぶ、「メンドウな人々」の片岡千之助。佐渡島に眠る“無宿人”の墓からインスピレーションを得た、「ブルー・ウインド・ブローズ」の富名哲也が監督・脚本・編集を務めた。
  • PERFECT DAYS

    制作年: 2023
    「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」で知られ、小津安二郎を敬愛してやまないドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが、役所広司を主演に東京で撮影した日本映画。公衆トイレの清掃員、平山の静かな日常を追いながら、人生の豊かさ、切なさ、愛おしさをエモーショナルに描き出す。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にてワールドプレミアされ、役所広司が男優賞を受賞。脚本はヴィム・ヴェンダースと、プロデュースも兼ねる高崎卓馬。共演は同僚のタカシに柄本時生、アヤにアオイヤマダのほか、新人の中野有紗、田中泯、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和などのベテラン勢が集結。2023年・第36回東京国際映画祭オープニング作品にして、同年10月24日~30日に都内特別先行上映。映画企画の発端となった「THE TOKYO TOILET」プロジェクトと渋谷区内17カ所の公共トイレの意匠が世界的に注目された。
  • こんにちは、母さん

    制作年: 2023
    「男はつらいよ」シリーズをはじめ、時代の変遷と人びとの暮らしを見つめ続けてきた山田洋次監督の91歳にして90本目の劇映画。墨田川のほとりで、スカイツリーを見上げる東京下町を舞台に、現代の令和を生きる「母と息子」の新たな物語を心情豊かに描き出す。主演を務めるのは、1972年公開の「男はつらいよ 柴又慕情」をはじめ、「母べえ」(08)「おとうと」(10)「母と暮せば」(08)など、約50年間にわたって山田洋次作品に出演してきた吉永小百合。下町に暮らす母・福江を演じ、映画出演123本目にして、山田洋次の『母』3部作の集大成となった。その息子・昭夫を演じるのはNHK大河ドラマ『鎌倉殿の十三人』の好演が記憶に新しい大泉洋。山田洋次と吉永小百合と初タッグを組んだ。原作は劇作家・永井愛(二兎社)が手掛けた同名の舞台作品。変わりゆく都会の片隅で、中間管理職の悲哀、シニアの淡い恋、地域とホームレスの問題、若者の生きがいの問題など、今日的なテーマを織り込みながら、それでも変わらぬ思い合う人びとの心を描く、おかしくも切ない人情喜劇。
  • 銀河鉄道の父

    制作年: 2023
    宮沢賢治を支え続けた父・政次郎と家族の深い愛を描いた門井慶喜の直木賞受賞作『銀河鉄道の父』を映画化。岩手県の花巻で質屋を営む宮沢政次郎の長男・賢治は家業を継ぐ立場でありながら、適当な理由をつけてはそれを拒んでいた。農業大学へ進学し、我が道を突き進む賢治に対し、政次郎は厳格な父親であろうと努めるが、つい甘やかしてしまう。やがて、妹・トシの病気をきっかけに筆を執る賢治だったが……。父の政次郎を役所広司、賢治を菅田将暉、妹のトシを森七菜が演じた。監督は「八日目の蝉」「いのちの停車場」の成島出。
  • 餓鬼が笑う

    制作年: 2021
    「恋するけだもの」「ミッドナイトスワン」の田中俊介主演による幻想奇譚。骨董屋を目指し、路上で古物を売って暮らす大貫大。先輩商人の国男に誘われ、山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、大はこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまう。共演は「N号棟」の山谷花純、「夜明けまでバス停で」の片岡礼子。監督は「the believers ビリーバーズ」の平波亘。
  • GHOSTBOOK おばけずかん

    制作年: 2022
    「ALWAYS 三丁目の夕日」「DESTINY 鎌倉ものがたり」の制作チームが贈る、どんな願い事も叶えてくれる一冊の本「おばけずかん」を手に入れた子供たちが数々の試練に立ち向かう異世界冒険ファンタジー。VFXを駆使した美しい映像をクリエイトしてきた山崎貴監督が2000年に発表したデビュー作「ジュブナイル」から20年を経て、「少年少女の成長物語」に原点回帰した。開いてはいけない本を開いてしまった子供たちを、城桧吏、柴崎楓雅、サニーマックレンドン、吉村文香、巻き込まれる瑤子先生を新垣結衣、謎の古本屋店主を神木隆之介が演じた。声の出演には、釘宮理恵、下野紘、杉田智和、大塚明夫たち豪華声優陣に加えて、田中泯が声で山崎監督作4度目の参加を果たした。思わず踊りたくなるような主題歌「異世界混合大舞踏会 (feat. おばけ)」を星野源が軽やかに歌っている。

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