男気あふれる健さんの勇姿をまだまだ見続けたいとの多くの要望に応え、東宝から三橋達也を迎えての「網走」新シリーズの開始です。
シリーズ初顔の三橋はじめ、新風を吹き込む意味で監督も前シリーズ総てを担当した石井輝男からマキノ雅弘に交替。※以後、更に交替は続く
そして新たなコラボの結果は、私の目からすると「吉」と出たように感じます。
戦後間もなくの東京。
闇市が建ち並ぶ焼け地でアメリカ兵の横暴に立ち向かった結果、主人公(高倉健)は網走の米軍更正施設送りとなる。
数ヶ月後、再び東京へ舞い戻った主人公は、幼なじみ(長門裕之、山本麟一)と愚連隊を結成。
闇市を縄張りに商店主たちから悪どく「ショバ代」を巻き上げる水島道太郎一味と対立。
しかし口の上手い水島に言いくるめられ、いつしか客分として一定の距離を保つこととなる。
そんな折、酒に女に生き急ぐ生活をおくっていた「特攻隊の生き残り」の三橋と運命的な出会いを果たす主人公。
当初は対立するも、喧嘩が取り持つ縁で親交は深まり、時に自らを犠牲にしてまで相手を重んじ合う間柄となる。
虎視眈々と闇市制覇を画策している水島一味との小競り合いは続き、遂には主人公の妹とその婚約者を巻き込む血生臭い抗争へと発展していき...
てな感じの話がサクサク進み、普段は善人イメージの水島が策士の悪役を、以後のシリーズで個性的な悪役を担う今井健二が国籍間で勃発する争いを回避しようと身を粉に働く華僑人を演じ、「いつもの」配役を反転させた面白さも味わえます。
高倉と三橋との掛け合いも違和感なく、文化住宅の通路で惚れた女の話をする照れくさそうな少年ぽい二人の表情は最高。
心機一転し、新たな魅力も確かな戦力となり、なかなかの好発進を飾ったとの印象ですね。