柳町光男 ヤナギマチミツオ

  • 出身地:茨城県行方郡牛堀町
  • 生年月日:1945/11/02

略歴 / Brief history

【青春の足跡や日本の土着性を様々な角度から捉える】茨城県生まれ。小学生の頃からの映画ファンで、映画作家を志望して早稲田大学在学中にシナリオ研究所に通う。1969年に卒業後間もなくフリーで映像の仕事に携わるが、74年には自らの製作会社であるプロダクション群狼を設立。暴走族の少年たちにスポットを当てたドキュメンタリーの製作に入る。76年に完成したモノクロ・16ミリの「ゴッド・スピードユー!/BLACKEMPEROR」は、当初はホール上映などの自主上映からスタートしたが、東映に買い上げられ、35ミリにブローアップして全国公開。新人監督として柳町の名は一躍注目される。79年には中上健次の同名小説をもとにした劇映画第1作「十九歳の地図」を発表。新聞配達の少年を主人公に、行き場のない若者の焦燥感を描き、時代の空気を的確にとらえた青春映画の傑作として評価されて、80年のカンヌ映画祭批評家週間の上映作にも選ばれた。続く「さらば愛しき大地」(82)は、自らの故郷である茨城県・鹿島地方を舞台に、高度経済成長下で物質的な豊かさとはうらはらに荒廃していく人間の姿をとらえる作品。キネマ旬報ベスト・テン第2位に選ばれたほか、前作同様に海外の映画祭でも高い評価を得て、柳町は劇映画2作で気鋭の新人監督から日本を代表する実力派の監督へとステップを踏んだ。85年には中上健次のオリジナル脚本を得て、熊野を舞台にした「火まつり」を監督。現実と神話が綾なす物語を見事な映像にまとめ、キネマ旬報ベスト・テン第2位、芸術選奨文部大臣賞などを受賞した。【アジアと日本の関わりに題材を】このように自らの青春の足跡や日本の土着性にこだわって作品を発表してきた柳町だが、その後は海外、とりわけアジアと日本との関わりに題材を求めるようになる。「チャイナシャドー」(90)はアジアを代表する俳優であったジョン・ローンを主演に起用、激動する中国を舞台に裏社会に生きる青年実業家の姿を描き、「愛について、東京」(93)では、国際色強まる東京を舞台に中国人留学生の悲恋を描いた。95年には、歌や踊りなどの芸を見せながら、薬を売って国中を旅する台湾の伝統的職業・?江湖(パオジャンフー)たちの日常をとらえた日本台湾合作のドキュメンタリー「旅するパオジャンフー」を発表した。2001年~03年度には母校でもある早稲田大学客員教授を務める。この時の経験を下敷きに、「カミュなんて知らない」(06)を製作。ほぼ10年ぶりの監督作となったが、カンヌ映画祭監督週間やニューヨーク映画祭にも出品され、東京国際映画祭「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞するなど、健在ぶりを示した。

柳町光男の関連作品 / Related Work

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  • カミュなんて知らない

    実際に起きた老婆刺殺事件をモチーフに、映画を制作する学生たちの姿を通して殺人の衝動と倫理を問うメタフィクション・ドラマ。監督は「愛について、東京」の柳町光男。出演は「オーバードライヴ」の柏原収史、「TOKYO EYES」の吉川ひなの。
  • 旅するパオジャンフー

    歌や踊りなどの芸を見せながら、薬を売って国中を旅する台湾の伝統的職業・[足包]江湖(パオジャンフー)。日本で言うところの香具師(やし)にあたる彼らの日常をとらえたドキュメンタリー。葉天爽一家の姿を中心に、引退した老パオジャンフー・呉天羅の生活、蛇使いの曽先生の一座の様子などを交えた構成になっている。監督は「愛について、東京」の柳町光男で、94年の秋からおよそ2カ月、台湾に渡り30時間にも及ぶフィルムを回して本作を完成させた。95年度ヴェネチア国際映画祭正式出品“イメージの窓”招待、台湾金馬奨映画祭正式招待、ウィーン映画祭正式招待作品。日本・台湾合作。
  • 愛について、東京

    国際色が日に日に強まる現代の東京を舞台に、したたかに生きる中国人留学生、日本育ちの中国人少女、パチンコ店を経営する元やくざの三人の男女が織り成す奇妙な三角関係を描くドラマ。監督・脚本・製作(共同)は柳町光男で、前作「チャイナシャドー」製作中に多くの中国人と出会ったことが今回の映画作りにつながったという。撮影は「ジェームス山の李蘭」の安藤庄平、音楽は「ミンボーの女」の立川直樹(チェロを溝口肇)が担当。主演のウー・シャオリンと岡坂あすかを始め、中国人キャストはオーディションによって選ばれた新人たちである。第五回東京国際映画祭(九二年度)で審査員特別賞を受賞した。キネマ旬報ベストテン第七位。
  • チャイナシャドー

    国際都市香港を舞台に謎の過去をもった野心満心の若き実業家の姿とその多国籍の人間模様をサスペンスタッチで描く。西木正明原作「スネークヘッド」をヒントに「火まつり」の柳町光男が脚本・監督、共同脚本は「ゾンビ伝説」のリチャード・マックスウェル。撮影監督は「モダーンズ」のトヨミチ・クリタがそれぞれ担当。
  • 火まつり

    海洋公園建設で揺れる海と山に挟まれた小さな街を舞台に、嵐の山の中で神の啓示を受けた木こりの姿を描く。芥川賞作家・中上健次がはじめて映画の脚本を執筆、監督は「さらば愛しき大地」の柳町光男、撮影は「逆噴射家族」の田村正毅がそれぞれ担当。
  • さらば愛しき大地

    農業と工業が、新旧渾然一体となってぶつかり合う茨城県鹿島地方を舞台に、ある農家の崩壊を描く人間ドラマ。脚本・監督は「十九歳の地図」の柳町光男、撮影は「三里塚 辺田部落」の田村正毅がそれぞれ担当。
    80
  • 十九歳の地図

    青年が大人になっていく過程の中で、人生や人間というものの孤独や哀しみを知っていく姿を描く。脚本・監督は「ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR」の柳町光男、撮影は榊原勝己がそれぞれ担当。
    90
  • ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR

    東映の助監督をやっていたことのある30歳の柳町光男が自主製作した長編記録映画。八年の歴史をもつ暴走族の大組織“ブラック・エンペラー”の新宿支部(構成員約百人)に属する少年たちの日常生活を淡々と撮る。撮影は、昭和49年10月~50年7月。カメラはアリフレックス、録音機はナグラ。ほとんど同時録音になっている。おもに、戸山ハイツの団地に住んでいる19歳のデッコと、新宿御苑前の旅館街に住んでいる16歳のゴムの生活を撮る。再現が一部にあるが、ヤラセはほとんどやっていない。4月、5月、6月と自主上映したが、7月1日から17日まで、東映が石井輝男の「暴走の季節」、岡本明久の「暴力教室」とともに三本立で都内上映した。7月、8月、9月の三ヵ月間の全国の映画館における上映権を、東映がもっている。(16ミリ)
    90

映画専門家レビュー

今日は映画何の日?

NEW今日誕生日の映画人 7/26

サンドラ・ブロック(1964)

オーシャンズ8

スティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー主演の「オーシャンズ11」を元に主要キャラクターをオール女性キャストでリブートする新作。2018年6月8日全米公開予定。

ミニオンズ

ユニバーサル・スタジオとクリス・メレダンドリ率いるアニメーションスタジオ、イルミネーションが贈るアトラクション3Dアニメーション「怪盗グルー」シリーズの人気キャラクター、ミニオンズを主役に描いた作品。ミニオンたちが仕えるべき最強のボスを探す旅を描く。前2作のピエール・コフィンに加え、「ロラックスおじさんの秘密の種」のカイル・バルダが監督を務める。「スピード」のサンドラ・ブロック、「バットマン」のマイケル・キートンらが声の出演。日本語吹替版では「アマルフィ 女神の報酬」の天海祐希、「009 RE:CYBORG」の声優・宮野真守らが参加。「怪盗グルーのミニオン危機一髪」の主題歌『Happy』が第86回アカデミー賞歌曲賞にノミネートされたファレル・ウィリアムスが引き続き音楽を担当している。
スーザン・ジョージ(1950)

J&S さすらいの逃亡者

かの『ボニー&クライド』に材をとり、腐れ縁で結ばれた男と女をめぐるマカロニ・ウェスタン風味のラブ・ストーリー。監督は「続荒野の用心棒」「情無用のジャンゴ」など、ひねりの効いたマカロニ・ウェスタンのほか、「史上最大の喜劇 地上最笑の作戦」はじめ様々なジャンルの映画を手がけた名職人セルジオ・コルブッチ。製作はロバート・ロヨラ、脚本はコルブッチ、マリオ・アメンドラ、アドリアーノ・ボルツォーニ、ホセ・マリア・フォルケ、サバティーノ・チウフィーニの共同、撮影はルイス・カドラード、編集はユージェニオ・アラビソ、美術はピエトロ・フィリッポがそれぞれ担当。音楽は「荒野の用心棒」はじめマカロニ・ウェスタンのテーマ曲で名を高めた巨匠エンニオ・モリコーネ。主演はコルブッチとは「情無用のジャンゴ」でも組んだトマス・ミリアンと「わらの犬」「マンディンゴ」などのスーザン・ジョージ。共演はTV「刑事コジャック」でおなじみの「特攻大作戦」などのテリー・サヴァラス、ゲストとして「テオレマ」「1900年」のラウラ・ベッティほか。ちなみに、本作は〈マカロニ・ウェスタン復活祭〉と題して、監督を同じくコルブッチが手がけた問題作「殺しが静かにやってくる」と連続上映された。

タイガーシャーク(1978)

夏のバカンス・シーズンで賑わう中米カリブ海の保養地を舞台に、風俗と、男女の恋を描きながら、人食いザメと人間の戦いを促えたパニック映画。製作はジェラルド・グリーン、監督・脚本はルネ・カルドナ・ジュニア、音楽はバージル・ポルドゥーリスが各々担当。出演は「マンディンゴ」のスーザン・ジョージ、フィオナ・ルイス、ジェニファー・アシュレー、アンドレス・ガルシア、ヒューゴー・スティグリッツなど。