略歴 / Brief history
父のロバート・トーラは米軍人で、草刈が生まれる前に朝鮮戦争で死亡、日本人の母・スエ子に育てられる。中学時代から新聞配達などのアルバイトで貧しい家計を助け、小倉西高校定時制に進むが、店員や新聞配達などの苦学生活を送る。同校2年のとき、軟式高校野球の投手として全国大会準決勝まで進む。69年秋、たまたまファッション・ショーを見ているところをエグゾティックなマスクが買われ、モデルとしてスカウトされる。70年3月、資生堂の専属モデル。男性化粧品MG5のコマーシャル・ボーイになったのを機にCMタレント、カヴァー・ボーイとして売り出した。185cmの長身、澄んだ黒い瞳、清潔な口もと、チャーミングな笑顔が受け、いらい、テレビ・タレント、歌手としても人気を集め、74年、篠田正浩監督の目にとまり「卑弥呼」(表現社=ATG)で映画デビューした。なぞの国、耶馬台国の世界を、女王ヒミコを中心に描いたこの映画で草刈は岩下志麻ふんするヒミコに恋される異母弟タケヒコを好演。映画俳優としても順調なスタートを切った。全体に台詞も芝居も少なく、演技的にもまだ固さの目立ったのは否めないが、無国籍的でどことなくかげりあるフィーリングがこの映画にマッチし注目される。74年、東宝専属とともに、東宝青春路線のニュー・エースとして「神田川」「青葉繁れる」「沖田総司」にたて続けに出演した。なかでも、25歳で散った沖田総司の激しく生きた晩年を描く「沖田総司」ではバタ臭さをものともせず、肺病にむしばまれ、恋人を失った孤独の浪士をきわめてナウな乾いた明るさで演じ切り、好評を博した。これらの演技で74年度の製作者協会新人賞受賞。75年には「若大将」シリーズ復活とともに加山雄三、大矢茂に続く三代目若大将に起用され「がんばれ!若大将」(75)、「激突!若大将」(76)にあいつぎ主演した。前者はアメリカン・フットボール、後者はアイス・ホッケーのキャプテン役で、パターンはかつてのシリーズの完全な踏襲だが、加山が演じた底抜けに明るくそして強い坊ちゃんではなく、どことなくカゲのあるシラケ世代の若者を感じさせた。作品的にはいま一つ物足りなさを感じたが、これは企画力の貧しさというべきで、草刈の演技力はここにきてようやく開花のきざしが見え始める。75年、神代辰巳の「櫛の火」に主演、76年には名匠・今井正に見込まれ、今井には珍しい青春映画「あにいもうと」に秋吉久美子と共演し、社会からはみ出した兄妹の美しい情愛を力強く演じ、若手A級スターにランクされ78年には市川崑監督の大作「火の鳥」の主役に起用される。テレビもNHK時代劇『風と雲と虹と』(76)など出演多数の売れっ子。
映画専門家レビュー
今日は映画何の日?
NEW今日誕生日の映画人 3/8
- 渡部豪太(1986)
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コスメティックウォーズ
化粧品業界の裏側に切り込んだヒューマンドラマ。老舗化粧品会社のロングセラー商品の機密情報を盗み出すため、産業スパイとして潜入した三沢茜。だが化粧品を作る社員たちと触れ合っていくなか、その熱い想いに触れ、茜は次第に自分の行為に疑問を感じ始める。出演は「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の大政絢、「夏休みの地図」の奥菜恵、「海南1890」の渡部豪太、「東京PRウーマン」の井上正大、「校庭に東風(こち)吹いて」の柊子、「GONIN サーガ」の松本若菜、「The Room」の尚玄、「天空の蜂」の森岡豊、「映画 深夜食堂」の高岡早紀。監督は「東京PRウーマン」の鈴木浩介。音楽を「十三人の刺客」「貞子vs伽椰子」の遠藤浩二が担当する。 -
海難1890
1890年に和歌山県で起きたオスマン帝国の親善訪日使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号の海難事故、そして1985年イラン・イラク戦争時にテヘランに残された日本人の救出にトルコが尽力した史実に基づき、日本・トルコ両国の絆や危険を押してでも助けようとする人々を描いた人間ドラマ。エルトゥールル号編とテヘラン救出編の二部で構成される。監督は「利休にたずねよ」が第37回モントリオール世界映画祭最優秀藝術貢献賞に輝いた田中光敏。海難事故に遭遇した医師を「臨場・劇場版」の内野聖陽が演じ、「マイ・バック・ページ」の忽那汐里やトルコ人俳優ケナン・エジェが二役で出演。外務省の後援や、トルコ政府全面協力を受け制作された。 - 鮎川いずみ(1951)
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必殺!III 裏か表か
闇の金融集団と闘う仕事人たちの姿を描く“必殺!”シリーズ第三弾。脚本は「必殺!」の野上龍雄、保利吉紀、中村勝行の共同執筆。監督は「逃がれの街」の工藤栄一。撮影は「必殺! ブラウン館の怪物たち」の石原興がそれぞれ担当。 -
必殺! ブラウン館の怪物たち
徳川家康が建てたという黒谷屋敷の謎をかぎつけた倒幕派と外国人グループと戦う仕事人たちを描く。昨年公開された「必殺!」の第二弾。脚本は「哀しい気分でジョーク」の吉田剛、監督は「港町紳士録」の広瀬襄、撮影は「必殺!」の石原興がそれぞれ担当。
NEW今日命日の映画人 3/8
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