熊澤正人

熊澤正人の関連作品 / Related Work

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  • うつし世の静寂に

    急激な都市化により、生活環境が大きく変化した川崎北部で、今もなお地域の伝統文化を守りながら生活をする人々の姿を捉えたドキュメンタリー。監督は「オオカミの護符」の由井英。都心から多摩川を渡った川崎市北部。多摩丘陵の一角をなすこの土地には京王線・小田急線・東急田園都市線・東急東横線が並行して走り抜け、広大な住宅地に暮らす人々を都心へと送り出す。彼らは「川崎都民」あるいは「新住民」と呼ばれている。一方、この鉄道の狭間には、土地の神々や祖先に素朴な祈りを奉げ続けてきた「旧住民」のお百姓の暮らしがある。様変わりする暮らしの中にあっても、代々受け継がれてきた伝承を守り続ける人々がいる。「“講”は、今に生きる者だけが集うものではない」と古老は言った。月に一度、集落の人々が一軒の家に集まり“講”は行われる。“無尽講”は、お金の貸し借りを通じて互いに融通しあう仕組みであり、“念仏講”は先祖供養のための集いである。古来、日本列島に暮らす庶民は現世に生きる人間の意志だけでものごとを決めることを慎んできた。神や仏が同座する場に人々は集い、風土や先祖と繋がり合ってきたのだ。そんな中、明治政府の命じた「神社合祀」によって社が失われ、森だけが残された鎮守の社でおよそ100年ぶりに「獅子舞」の奉納が実現される。明治以降、近代化への舵が大きく切られて久しい今なお、庶民の祈りは続いている……。
  • オオカミの護符

    街中で見かける犬が描かれた“護符”のルーツを辿るとともに、古来から受け継がれてきた“お狗さま信仰”と日本人のつながりを探るドキュメンタリー。絶滅したといわれるニホンオオカミの生息地だった関東平野の山地を巡り、農家の人々と触れ合ううちに、“講”と呼ばれる伝統行事と“オオカミの護符”の関連が明かされてゆく。都心からほど近い、川崎市宮前区土橋の古い土蔵の扉に貼られた一枚の護符。この護符には、土地の人が“お狗(いぬ)さま”と呼ぶ獣が描かれている。今や、日本列島の1/3の人々が生活を営み、首都圏として激しく移り変わる関東平野。その“新しい町”の片隅に見かける古い土蔵や家の戸口、畑には、今なおその“護符”が貼られている。“武蔵の国”と呼ばれていた頃から、関東の農民が伝えてきた“御嶽講(みたけこう)”。この行事を取材するうちに、“御嶽講”を通じて護符がもたらされてきたこと、描かれた獣が、その山々で生きたヤマイヌ、ニホンオオカミであることを知る。関東平野を取り巻く山地はかつて、絶滅したといわれるニホンオオカミの一大生息地であった。この山々にある数々の神社が、“オオカミの護符”を発行していた。その背景には、古くから土地に根差して暮らしてきた“山びと”とオオカミの関わりがあった。関東の農民は田畑を耕し、作物を作るだけの存在ではなかった。自らの地域を自らの手で治め、御嶽山をはじめ、大山、筑波山、榛名山など関東を取り巻く山々に“講”を組んで参拝し続けてきた。そこにあるのは、庶民の心が受け継いできた山岳信仰の素朴な姿。命の源である身近な自然を慈しみ、畏れ、敬う。人々の素朴な信心の世界がそこにあった。

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