略歴 / Brief history
化学者の父、学校教師の母をもつ中産階級の子として生まれる。本名ウィリアム・フランクリン・ビードル。子供のころ厳格にしつけられたが、あまりにもグッドボーイすぎたので、スポーツマンの父は特訓し、8歳のときには曲芸師のように空中回転することができた。4歳のときからカリフォルニアに移転、父は肥料関係で成功、パサディナのハイスクールからジュニア・カレッジに進んだ彼はパサディナ・プレイハウスに所属、『マダム・キューリー』の端役をもらったところをパラマウントのタレント・スカウトに発見された。ハイスクール時代からモーターサイクルの曲芸からピアノ、クラリネット、ドラムと音楽にも趣味をひろげた彼は、ただちにパラマウントと週50ドル(当時の新人契約の最低額、現在のレートで約1万5千円)で契約されたが、ビードルという名が英語のビートル(かぶと虫)に似ているというので、同社の重役がちょうどかかって来た電話の相手の名、ウィリアム・ホールデンをそのまま芸名にしたという。だが彼がデビューしたのはコロムビア映画からでルーベン・マムーリアンの監督。こうして39年「ゴールデン・ボーイ」で映画デビュー、幸運なスタートを切った。知り合った女優ブレンダ・マーシャル(本名アーディス・アンカースン)と41年に結婚。42年に陸軍の航空部隊に入隊して4年間軍務に服し、46年除隊までに3人の子供の父(妻の連れ娘ヴァージニア12歳、長男ウエス6歳、次男スコット1歳)となった。その足でハリウッドに戻ったがホールデンなんてどこの馬の骨だといわれ、家族のため、次の3年間は何でも出演、計17本という珍しい記録を出している。その健闘をみて拾ってくれたのがビリー・ワイルダー監督で、50年「サンセット大通り」での好演は、アカデミー主演男優賞を彼にとらせ、53年の「第十七捕虜収容所」へと飛躍させ、以後、文字どおり何でもこなせるゴールデン・ボーイとして、精力的な活動を約10年間にわたってくりひろげることになる。西部劇、戦争もの、コメディ、メロドラマ、サスペンスとすべて好調、「月蒼くして」(53)、「ブラボー砦の脱出」(53)、「喝采」(54)につぐ「慕情」(55)、「ピクニック」(55)で世界的となり、「戦場にかける橋」(57)でピークに達した。アメリカ映画館主のえらぶマネー・メイキングスター・ベスト10に54年、55年、56年(1位)、57年、58年、61年に加えられている。50年代はちょうどハリウッドの黄金時代が去り、スタジオ製作から海外ロケ時代、独立プロ時代へ移行していったときで、ホールデンも歩合契約によって億万長者となった一人だが、ただのほほんと金を儲けたわけではない。たとえば55年には契約会社パラマウントのため“親善使節”として地球上を13万5000マイル、円周の約5倍以上を旅している。そして週1500通のファンレターを世界中からもらい(37歳で)、「慕情」が36億円の興収をあげるのに寄与したのである。当時、彼の生活には1分の余分な時間もないといわれ、市民としてもロサンゼルス公園委員会、ハリウッド調整委員会、パラマウント慈善委員会、復員問題委員会などに一役買っていた。パラマウントとは50年いらい14年契約という当時のハリウッド最長の契約で、出演料は税金の関係で約3000万円だったが、実質6000万円といわれていた。戦後のスター不足時代に出現した逸材といえるだろう。トップ級スターとして来日回数も最大で、公式のものだけで7回、非公式のもの(日本と東南アジアに投資しているため)は数知れない。不遇の50年代はじめに俳優組合(SAG)の副会長になり政治的手腕を認められたが、その後、事業面でも石油、テレビ局、映画会社、牧場、観光関係などで南米、地中海、アフリカに投資し、中でもアフリカのサハリに設備した狩猟クラブとマウント・ケニア・ホテルは特に有名だ。66年、ブレンダ夫人と別居、数年前からの恋人キャプシーヌと噂され、のち夫人と和解したが、現在は別居中。最盛期のころからすでに胃から心臓にわたる精神身体医学的な症状におそわれ呼吸困難の持病に悩まされ、一時は再起不能となり、「ワイルド・バンチ」(69)では見違えるほど老けていた。183cm、75kg。髪はブラウン、瞳はブルー。
映画専門家レビュー
今日は映画何の日?
NEW今日誕生日の映画人 3/8
- 渡部豪太(1986)
-
コスメティックウォーズ
化粧品業界の裏側に切り込んだヒューマンドラマ。老舗化粧品会社のロングセラー商品の機密情報を盗み出すため、産業スパイとして潜入した三沢茜。だが化粧品を作る社員たちと触れ合っていくなか、その熱い想いに触れ、茜は次第に自分の行為に疑問を感じ始める。出演は「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の大政絢、「夏休みの地図」の奥菜恵、「海南1890」の渡部豪太、「東京PRウーマン」の井上正大、「校庭に東風(こち)吹いて」の柊子、「GONIN サーガ」の松本若菜、「The Room」の尚玄、「天空の蜂」の森岡豊、「映画 深夜食堂」の高岡早紀。監督は「東京PRウーマン」の鈴木浩介。音楽を「十三人の刺客」「貞子vs伽椰子」の遠藤浩二が担当する。 -
海難1890
1890年に和歌山県で起きたオスマン帝国の親善訪日使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号の海難事故、そして1985年イラン・イラク戦争時にテヘランに残された日本人の救出にトルコが尽力した史実に基づき、日本・トルコ両国の絆や危険を押してでも助けようとする人々を描いた人間ドラマ。エルトゥールル号編とテヘラン救出編の二部で構成される。監督は「利休にたずねよ」が第37回モントリオール世界映画祭最優秀藝術貢献賞に輝いた田中光敏。海難事故に遭遇した医師を「臨場・劇場版」の内野聖陽が演じ、「マイ・バック・ページ」の忽那汐里やトルコ人俳優ケナン・エジェが二役で出演。外務省の後援や、トルコ政府全面協力を受け制作された。 - 鮎川いずみ(1951)
-
必殺!III 裏か表か
闇の金融集団と闘う仕事人たちの姿を描く“必殺!”シリーズ第三弾。脚本は「必殺!」の野上龍雄、保利吉紀、中村勝行の共同執筆。監督は「逃がれの街」の工藤栄一。撮影は「必殺! ブラウン館の怪物たち」の石原興がそれぞれ担当。 -
必殺! ブラウン館の怪物たち
徳川家康が建てたという黒谷屋敷の謎をかぎつけた倒幕派と外国人グループと戦う仕事人たちを描く。昨年公開された「必殺!」の第二弾。脚本は「哀しい気分でジョーク」の吉田剛、監督は「港町紳士録」の広瀬襄、撮影は「必殺!」の石原興がそれぞれ担当。
NEW今日命日の映画人 3/8
-
該当する人物がいません