星の子の映画専門家レビュー一覧
-
映画評論家
北川れい子
成長期に両親を否定する。否定とまでは言わないまでも、両親のようにはなりたくない。ふつうによくあること――。そんなふつうなことを、奇妙な宗教にハマった両親を持つ少女の立場から描いているが、正直、設定からしてかなりムリヤリ感が強く、何やら小賢しい。といってもさして大きな事件やドラマが描かれるわけでもなく、要はそんな両親を受け入れられるか、という話。宗教絡みの水のエピソードも作為的で、ただの水道水に入れ替えるおじさんも何だかね。結局、愛さえあれば?
-
編集者、ライター
佐野亨
「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」「タロウのバカ」「MOTHERマザー」と、子と親(親と子ではなく)の関係を描くことに執着してきた大森立嗣。新興宗教を信仰する両親とその子という題材は、ともすればワイドショー的な好奇の対象にされかねないが、親という存在を絶対化して信じるといういとなみそれじたいが宗教のようなものである、という真理を大森はきちんと踏まえている。だから彼の映画は他人事に堕さない。芦田愛菜もよいが、蒔田彩珠が素晴らしい。
-
詩人、映画監督
福間健二
実在しそうな、へんな水を売る宗教の信者となった父母を演じる永瀬と原田。こういう役で生きのびていくのかと、ちょっとさびしくなったが、覚悟を感じさせる「らしさ」だ。蒔田、大友、黒木、高良の助演陣も、それぞれ危うさの出し方に見るべきものが。主人公ちひろを演じる芦田愛菜はこの役なら感じさせたい天使性がもうひとつ。でも、どうしたらよかったのか。大森監督、勇気ある決断だったろうか。何が正しいかを観客に押しつけない。必然的になのか、だれをも救おうとしない作品。
1 -
3件表示/全3件