マザーレス・ブルックリンの映画専門家レビュー一覧

マザーレス・ブルックリン

エドワード・ノートンが監督・脚本・製作・主演を務め、原作小説の舞台を1957年のニューヨークに移して映画化したノワール・サスペンス。障害を抱えながら驚異の記憶力を持つ私立探偵ライオネルは、恩人であるボスのフランクが殺された事件の真相を追う。出演は、「ダイ・ハード」シリーズのブルース・ウィリス、「美女と野獣」のググ・バサ=ロー、「ミッション:インポッシブル」シリーズのアレック・ボールドウィン、「スパイダーマン」シリーズのウィレム・デフォー。
  • ライター

    石村加奈

    舞台を原作の90年代から50年代に変更し、ハードボイルド度がアップ(B・ウィルス、W・デフォーらの渋さが際立つ)。更に日本人ネタを一掃し、ビッグなアメリカン・ムービーに仕立てている。監督、脚本、製作を務める天才、E・ノートンが主人公のライオネルを演じたことで、原作に描かれる、トゥレット症候群の闇、即ち「世界」との「果てしない鬼ごっこ」と、大都会の闇が重なり合い、作品世界に陰翳をもたらす。映画を彩るモダン・ジャズも、主人公の脳内と融合して、魅力的だ。

  • 映像ディレクター/映画監督

    佐々木誠

    50年代のNY、探偵が腐敗した都市の闇に巻き込まれた美女を救う普遍的なノワール、と思いきや主人公は、トゥレット症候群で思ったことをすぐ口に出してしまうが驚異的な記憶力も持つという設定。これが全体的にダークなトーンをギリギリのユーモアとして乱していてそれが本作の魅力だ。演じるノートンが監督も兼任しているので、その絶妙なバランスを表裏でコントロール、彼自身の祖父が実際に関わっていた都市計画を基にした物語でもあり、思い入れ満載の理想的な自作自演作品。

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