AI崩壊の映画専門家レビュー一覧

AI崩壊

「22年目の告白 ―私が殺人犯です―」の入江悠監督が、AIの暴走を描いたサスペンス。AIが生活に不可欠になった2030年、医療AIのぞみが突如暴走し、命の選別と殺戮を開始。AIテロの容疑をかけられた開発者の桐生は、AI監視網の中、決死の逃亡劇を繰り広げる。逃亡する天才科学者・桐生を「キングダム」の大沢たかおが、彼を追う天才捜査官・桜庭をEXILE/三代目JSOULBROTHERSの岩田剛典が、AI管理者を「森山中教習所」の賀来賢人が演じる。
  • 映画評論家

    川口敦子

    人の選別、憲法改悪を企む無能な政府等々、近未来映画はぬかりなく日本の今を睨み今ここにある危機をこそ撃つ志を感じさせる。硬派な核心を「マイノリティ・リポート」を視界に入れつつ巻き込まれ型サスペンスのお愉しみで包む欲張りな、しかし娯楽映画が本来あるべき姿勢もまた感知できて頼もしい。ただ往年のハリウッドB級映画にいたような要となる脇役、老いぼれ+新米刑事コンビがもひとつぴりりと小気味よく機能してこない。そんなもたつきが全篇の切れ味に響いて残念。

  • 編集者、ライター

    佐野亨

    最先端のテクノロジーを題材としつつ、70年代ポリティカルサスペンスへの愛着があふれた画面づくりに好感をもった。ためにする展開の連発もそう思えば楽しい。どうせ荒唐無稽な逃走劇ならば、「君よ憤怒の河を渉れ」くらい突き抜けてもよかったのでは(馬に乗って疾走する大沢たかお、観たかった!)。荒唐無稽といいつつ、全体を取り囲む状況には侮れないリアリティがある。AIを選別の道具につかう人物に、先日ツイッターで差別的な発信をした東大特任准教授を重ねてみたり。

  • 詩人、映画監督

    福間健二

    AIの暴走への警告。小説も映画もやってきたことだ。入江監督、未来のAIの能力を見せるのと、子どもを危機においたサスペンスで、進行を確実にしながら、「悪」を平板にしたうらみがある。発達したAIが監視システムや人を選別する考え方と結びついたら大変なことになる。当然だが、反対運動は最初の方に出てきただけ。いきなり窮地の大沢たかおの主人公、目に閃きが足りない。最後のセリフもピンと来ない。三浦友和と広瀬アリスの刑事コンビが、まともな人間もいるよ、という役。

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