コロンバスの映画専門家レビュー一覧

コロンバス

モダニズム建築の宝庫として知られるインディアナ州コロンバスを舞台にした人間ドラマ。建築学者の父を見舞うためコロンバスを訪れたジンは、地元の図書館で働くケイシーと出会う。対照的な二人は、建築を巡り、語ることで、新たな人生に向かって歩き始める。監督・脚本・編集は、本作が長編デビュー作となるコゴナダ。出演は、「search/サーチ」のジョン・チョー、「スプリット」のヘイリー・ルー・リチャードソン。サンダンス映画祭2017をはじめ23の映画祭にノミネートされ、8冠を獲得。
95
  • 感動的な
  • おしゃれな
  • 映画評論家

    畑中佳樹

    確かベンヤミンが「映画は建築に似ている」と言っている。どちらも当り前のようにそこにあって、空気のように人を包み込む。片や生活の舞台をデザインし、片や役者が演技する空間を造形する。共に場所を、そこに身を置く人にとっての「世界」を創り出す。空間を吹き抜ける風に相当するのは、映画では音、音楽だ。遠い列車、空気のような音楽がこのフィルムを光のように満たす。主人公が好きな建物の話を始めると、不意に無声となって音楽がかぶさる。この映画、好きな場所だ。

  • 映画評論家

    石村加奈

    計算された構図、無音の使い方、巧みな編集、随所に小津安二郎監督の気配がある。いつの間にか自分の人生の探求をやめて、母との生活に満足しようとしていた少女の前に現れた旅人。美しい建物について、平易な説明ではなく「君が感動した理由が聞きたい」と言ってくれる(ロマンチックなシーン!)他者との出会いから、柵を越えて育まれる二人の関係そして少女の自立を、緑と雨の豊かな街が祝福する。「非対称ながらバランスを保つ」少女ケイシーをH・L・リチャードソンが好演。

  • 映画評論家

    佐々木誠

    監督のコゴナダは、ブレッソンやヒッチコック、そして小津の研究者でもあるので、構図、人物造形、構成など、シネフィル的な要素に満ち溢れている。それが鼻につかず、楽しめたのは偏に「愛」が感じられるからで、舞台がモダニズム建築の宝庫、コロンバスというのも大きい。登場する数々の美しい建造物は雄弁で、「不在」を意識したこの物語の主役といっても良いくらいだ。そもそも建築と映画というのはその構造が似ているので相性は良いのかな、と(制作現場は〇〇組だし。笑)。

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