Fukushima 50の映画専門家レビュー一覧

Fukushima 50

門田隆将のノンフィクションを原作に、東日本大震災時の福島第一原発事故を描いたドラマ。2011年3月11日、巨大地震が発生。大津波で原子炉が冷却できなくなった福島第一原発では、吉田所長や現場作業員の伊崎が、最悪の事態を回避しようとするが……。出演は「楽園」の佐藤浩市、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の渡辺謙。監督は「空母いぶき」の若松節朗。
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  • 手に汗握る
  • 映画評論家

    川口敦子

    2011年3月11日。もう春なのに雪が舞っていたのかと福島がフクシマやFukushimaになった日を俯瞰する幕開けに、劇映画としてその日、その場をどう描くのか――と、素朴な疑問と期待が膨らんだ。が、見るうちに無能な上官に翻弄されつつ自己犠牲の精神を発揮する部下を前線に送り出す板挟みの存在の悲憤を描く戦争大作めいてきて、しかも結局、責任の所在をうやむやにしたまま満開の桜に涙する、まさに戦後日本への道をなぞり、迷いなく美化するような展開に呆然とした。

  • 映画評論家

    佐野享

    この数年間に「福島」を描いた映画は多数あったが、言うまでもなくそこではつねに「撮る」「向き合う」「物語る」という主体が問われていた。この映画のタイトルは、海外のメディアが、生命の危機に直面しながら原発の復旧作業に力を尽くした人々への敬意をこめて名づけた呼称に由来する。そこから読み取れる映画の主体とはいったいだれか。豪華俳優陣が見せるやりすぎなほど統率された迫真のうちに、この作品は検証や哀悼や連帯ではなく、動揺や怒りや対立を呼びおこす。

  • 映画評論家

    福間健二

    あの日のあの時からはじまる、事実にもとづく物語。だが、佐藤浩市と渡辺謙を真ん中においた悲壮演技の応酬が、ウソだと思えてならなかった。そして事実の取り出し方、どうだろう。政治的意図とヒューマニズム、どちらも安手の二つが手を組んでいる。二〇一四年までの話で、「自然を甘く見ていた」というだけの結論。何を隠蔽したいのか。若松監督、承知の上の職人仕事か。知るべきことがここにあるとする人もいようが、二〇二〇年に見るべき作品にはなっていないと私は考える。

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映画専門家レビュー

今日は映画何の日?

NEW今日誕生日の映画人 5/14

インディラ・ヴァルマ(1973)

ナショナル・シアター・ライブ2020「プレゼント・ラフター」

イギリスの国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターが厳選した傑作舞台を映像化するプロジェクト「ナショナル・シアター・ライヴ」の1作。スター俳優ギャリー・エッセンダインが海外ツアーに出かける準備をしていたところ、個性的な面々の訪問を受け、彼の生活はハチャメチャに……。現代の名声・欲望・孤独を投影した作品。主演は、ドラマ「SHERLOCK」のジム・モリアーティ役など映像分野でもおなじみのアンドリュー・スコット。

ナショナル・シアター・ライヴ 2016「人と超人」

イギリス国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターで上演された舞台をデジタルシネマ化した「ナショナル・シアター・ライヴ」シリーズの一作。レイフ・ファインズ扮する独身貴族ジャックが、現実からの逃避行を図るバーナード・ショーの戯曲を収録。共演は「エクソダス 神と王」のインディラ・ヴァルマ、「キャプテン・フィリップス」のコーリイ・ジョンソン。
ソフィア・コッポラ(1971)

オン・ザ・ロック

ソフィア・コッポラが監督・脚本を務めたコメディ。新しく来た同僚と残業を繰り返すようになった夫に疑いを抱いた若い母親ローラは、プレイボーイの自分の父親とともに夫を尾行することに。2人は夜のニューヨークを駆け巡りながら、その距離を近づけていく。出演は、「デッド・ドント・ダイ」のビル・マーレイ、「カムバック!」のラシダ・ジョーンズ、「デンジャラス・バディ」のマーロン・ウェイアンズ。

ようこそ映画音響の世界へ

ハリウッドの映画音響に焦点をあてたドキュメンタリー。その進化において大きな偉業を残した「市民ケーン」「鳥」「ゴッドファーザー」などの名作から映画音響の歴史を紹介。さらに、スペシャリストたちと共に“音”が映画にもたらす効果と重要性に迫っていく。出演は「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストローム。