凪待ちの専門家レビュー一覧

凪待ち

「孤狼の血」の白石和彌が香取慎吾を主演に迎えて贈るヒューマン・サスペンス。日々を無為に過ごしていた木野本郁男は、ギャンブルから足を洗い、恋人・亜弓の故郷で人生をやり直すことを決意。だが、度重なる不幸に、郁男は次第に自暴自棄になってゆく……。共演は「虹色デイズ」の恒松祐里、「新聞記者」の西田尚美、「万引き家族」のリリー・フランキー。
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  • 感動的な
  • かっこいい
  • 考えさせられる
  • 映画評論家

    松崎健夫

    ごく普通に生きること、労働すること、そんな当たり前のことさえままならない日本の現状が物語の骨格を成している。そして高校生に「俺はここから出れねぇだけだ」という諦念を語らせることで地方の現実を悟らせてもいる。この映画に登場する男たちは「あの時、ああしていれば」という後悔を抱えた者ばかり。〈美しい波〉という名を持つ少女は、そんな男たちの心に“凪”を導く存在だ。これまで誰も見たことの無いような香取慎吾にも“凪”の訪れを感じさせる終幕は、厳しくも美しい。

  • 映画文筆系フリーライター

    千浦僚

    香取慎吾がいま新たに生きなおしているというどうしてもこちらに入ってくる芸能界的な情報を逆手にとって、もっと大きな再生に重ねた映画。人の営みの小ささ凡庸さが翳りとともにあらわれてそれを軽んじることを許さない。見甲斐がある。そもそも加藤正人のオリジナル脚本、人物造型が優れている。たしかにギャンブル狂というのは汚れとピュアさを併せ持つ人種だ。「熱い賭け」のジェームズ・カーン、「フェニックス」のレイ・リオッタを想う。あと吉澤健と寺十吾がもう最高っす。

  • 映画評論家

    北川れい子

    もう若くない主人公の居場所探し!? 言っちゃあなんだが、これほどヨソヨソしい白石作品は初めて。加藤正人のオリジナル脚本は、あえて東日本大震災の爪痕の残る石巻を舞台に設定し、主人公は恋人の故郷であるこの見知らぬ土地で、悲劇に巻き込まれるというのだが、演じる香取慎吾の神妙、かつかしこまった演技が取っつきワルく、しかも周囲に引っ張られてばかり。足場を持たずに生きてきた男の、人生の正念場ドラマにしてもヨソヨソしく、そもそもこの作品の狙いからして曖昧。

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