解説
アフリカからベルギーに渡る途中で出会い、姉弟のような絆で結ばれた少年少女の過酷な日常を描くダルデンヌ兄弟のヒューマンドラマ。ベナン出身の少年トリとカメルーン出身の少女ロキタ。ドラッグの運び屋として働く2人は、一緒に暮らすことを夢見るが……。出演は共に演技初挑戦のパブロ・シルズとジョエリー・ムブンドゥ。カンヌ国際映画祭で第75回記念賞を受賞した。
この作品のレビュー
映画専門家レビュー
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映画監督/脚本家いまおかしんじギリギリの生活。冒頭から尋常じゃない緊張が続く。この先どうなってしまうのか。胸が締め付けられる。部屋で嘘をつく練習。ひっかけ問題と笑うトリ。ロキタもトリといる時... もっと見る
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文筆家/俳優睡蓮みどり不安そうなロキタの視線とじっと見据えるようなトリの視線。ふたりの視線が交差するだけでこの映画を見る価値があるだろう。生活のためにしたくもない仕事をし、ビザのため... もっと見る
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映画批評家、都立大助教須藤健太郎ダルデンヌ兄弟は出来事(アクション)の継起を追い、ショットを積み重ねていくことでしか生じない何かに到達することを目指してきた。とすると、2人の映画が「活劇」の様... もっと見る
「トリとロキタ」のストーリー
ベナン出身のトリ(パブロ・シルズ)とカメルーン出身のロキタ(ジョエリー・ムブンドゥ)は、アフリカからベルギーへ辿り着く途中で出会い、本当の姉弟のような絆で結ばれた。すでにビザが発行されているトリの姉と偽り、ロキタはビザを取得しようとしたが、ビザ取得のための面接でロキタは質問に答えられず、パニック発作を起こしてしまう。トリとロキタは、イタリア料理店の客に向け、カラオケを歌って小銭を稼いでいた。ところがそれは表向きで、実はシェフのベティム(アウバン・ウカイ)が仕切るドラッグの運び屋だった。今日もベティムに指示され、ドラッグを客の元へ運ぶ。警察に目をつけられるなど、常に危険と隣り合わせで、時には理不尽な要求もされる。だが、それでも受け入れるしかない。人としての尊厳を踏みにじられる日々を、トリとロキタは支え合いながら生活していた。そんなある日、ベルギーへの密航を斡旋した仲介業者によって、祖国の母に送金予定だった金を奪われ、落胆するロキタ。2人の夢は、誰にも邪魔されずに祖国に仕送りをして、アパートを借りて一緒に暮らすこと。一刻も早く、ビザを手に入れて家政婦として働こうと、偽造ビザと引き換えに、ロキタはベティムが提案する孤独で危険な仕事を引き受ける。目隠しをして連れてこられたのは、外界からの情報を一切遮断された倉庫のような場所。劣悪な環境の上、外部の者に場所を特定されないように、携帯電話のSIMも没収される。どんな時も一緒だったトリとロキタは、こうして離ればなれに。支え合って生きる2人の絆を断ち切ろうとする世界。2人が生き抜く道はあるのだろうか……。
「トリとロキタ」の映像
「トリとロキタ」の写真
「トリとロキタ」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「トリとロキタ」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | ドラマ |
製作国 | ベルギー フランス |
製作年 | 2022 |
公開年月日 | 2023年3月31日 |
上映時間 | 89分 |
製作会社 | Les Films du Fleuve=Archipel 35=Savage Film=France 2 Cinema=VOO and Be tv=Proximus=RTBF |
配給 | ビターズ・エンド |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
公式サイト | https://bitters.co.jp/tori_lokita/ |
コピーライト | (C)LES FILMS DU FLEUVE - ARCHIPEL 35 - SAVAGE FILM - FRANCE 2 CINEMA - VOO et Be tv – PROXIMUS - RTBF(Television belge) |
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