「光のほうへ」のストーリー
アルコール依存症の母親と暮らす兄弟にとって、唯一の希望は歳の離れた幼い弟だった。育児放棄した母親に代わり、2人は盗んだミルクを与え、タバコをふかしながら赤ん坊をあやし、電話帳からでたらめに名前を付け、洗礼の真似をした。しかし、赤ん坊は突然死んでしまう。大人になった兄ニック(ヤコブ・セーダーグレン)は交際していたアナと別れ、自暴自棄になって人を殴り、最近まで刑務所に入っていた。現在は臨時宿泊施設で暮らしながら、酒と肉体を鍛えることで時間を埋めている。ある日、アナの兄イヴァン(モーテン・ローセ)と街で偶然再会する。イヴァンはニックを、今は結婚して子供もいるアナのところへ案内する。アナと目が合うと、ニックは逃げるように立ち去る。その夜、ニックはイヴァンに、アナが自分たちの子供を妊娠したが中絶し、そのままいなくなったことを打ち明ける。一方、弟(ペーター・プラウボー)は妻を交通事故で亡くし、幼い息子マーティンをひとりで育てていた。ある日、息子をちゃんと育てられないなら引き離すとソーシャルワーカーに言われると、生活保護を断ってその場を飛び出す。しかし彼は家に着くと息子をリビングに残して、バスルームで慣れた手つきでクスリを打つのだった。お互い辛い過去を封印するために関わらずに生きてきた兄弟は、母親の死をきっかけに教会で再会する。兄は母親の遺産を弟に譲ろうとするが、弟は慌てて、もうクスリはやっていないと答える。兄はマーティンが心配だと告げ、2人は別れる……。