「シチリア!シチリア!」のストーリー
太陽が眩しく輝き、風が荒々しく吹き抜けていくシチリアの町バーリア。牛飼いのトッレヌオヴァ家は貧しかったが、家族が力を合わせて、毎日を力強く生きていた。まだ幼い次男ペッピーノも、大人たちに連れられて農場や牧場で働く。子供とはいえ、大目に見てもらえることもなく、収穫数が足りなければ容赦なく賃金はカット。チーズ3つと引き換えに出稼ぎに行った牧場では、1冊しかない教科書をヤギに食べられてしまう。落ち込むペッピーノだったが、その地方に伝わる伝説を聞き、胸を躍らせる。それは、3つの岩山の頂に、一つの石を連続して当てることが出来たら、黄金を隠した洞窟の扉が開くというものだった。合間を見ては、繰り返し石を投げるペッピーノ。その一方で、時々父親とともに出かける映画館で無声映画を見ることも、彼にとってかけがえのない時間だった。こうしてペッピーノの少年時代は、笑いと涙が詰まった沢山の思い出に囲まれて過ぎてゆく。やがて世界中を巻き込んだ戦争が終わり、シチリアにもひと時の平和が訪れた頃。逞しい青年に成長したペッピーノ(フランチェスコ・シャンナ)は、世の中を良くしたいという理想に燃え、政治の世界に足を踏み入れる。同じ頃、彼は長い黒髪と大きな瞳が美しいマンニーナ(マルガレット・マデ)と出会い、激しい恋に落ちる。だが、貧しいペッピーノとの結婚に反対するマンニーナの両親は、金持ちとの婚約を勝手に決めてしまう。愛し合う2人は想いを貫くために駆け落ち。ついに教会で永遠の愛を誓い合う。愛する人と新しい人生に踏み出したペッピーノ。だが、幸せに満ちた彼を待っていたのは、世の中の矛盾、家族の死……。やがて時代は不穏な空気を孕み始める。そんな中、ペッピーノはあの岩山の伝説を試そうと、再び石を投げてみるが……。