「人生に乾杯!」のストーリー
1950年代後半、ハンガリー。労働者階級出身で、共産党の要人付きの運転手エミル・キシュ(エミル・ケレシュ)は、摘発のために城館に乗り込む。すると天井から、身を潜めていた伯爵令嬢ヘディ・フェレギ(テリ・フェルディ)が落ちてくる。ヘディはダイヤのイヤリングと引き換えにその場を助けてもらい、2人は恋に落ちる。それから50年後、2人は年金受給もままならず、苦しい生活を送っていた。エミルの愛車チャイカと本のコレクションの代わりに、思い出のイヤリングも借金のカタとして取られてしまう。自分の亭主関白を反省し、高齢者に冷たい世の中へ怒りを感じたエミルは、郵便局で紳士的な強盗を働く。続いてガソリンスタンドを襲うが、その姿が防犯カメラに映ってしまう。夫が犯人だとは信じられないヘディは、警察の捜査に協力する。警察と一緒に自宅でエミルからの連絡を待っていたヘディの元に、1本の電話が入る。奮闘する夫の姿にかつての愛情を取り戻したヘディは、一緒に逃げる決心をする。2人は紳士的な強盗を繰り返しながら、チャイカで警察の手をかいくぐっていく。自分たちの正義のために行動する彼らに共感した老人たちは立ち上がり、町には模倣犯が溢れ出す。2人は、エミルのかつての友人で、キューバからの移住者であるホアンの家に身をひそめるが、警察に居場所を知られてしまう。そこで、バスで家の塀を破って強行突破しようとして、女刑事のアギ(ユディト・シェル)を轢いてしまう。エミルたちは動揺し、アギを連れて逃走する。アギの恋人で刑事のアンドル(ゾルターン・シュミエド)は、彼女を救うため捜査に加わる。自分を看病するヘディの優しさに触れたアギは、次第に夫妻との距離を縮めていき、なぜ彼らが強盗を働いたのかを知ろうとする。30年前、夫妻の息子アティラが自転車旅行に出かけようとして、軍用トラックにはねられるという事件があった。そして一行は、息子が眠るパイオニアキャンプ場に向かう。