「ワンダーラスト」のストーリー
イギリス・ロンドン。ウクライナ移民のAK(ユージン・ハッツ)はミュージシャンとして成功することを夢見てジプシーパンクバンド“ゴーゴル・ボルデロ”のフロントマンとして活動しながら、SMの調教師をして生計を立てている。AKのルームメイトで、AKが密かに思いを寄せているホリー(ホリー・ウェストン)はロイヤル・バレエ団で踊ることを目標にバレエに打ち込んでいる。しかし家賃が払えなくなったので、AKの提案でストリップクラブのポールダンサーのオーディションを受ける。渋々ポールダンスの世界に飛び込んだホリーだったが、それは想像以上に厳しく深いものだった。先輩ダンサーのフランシーヌの指導のもと、ホリーは練習に没頭していく。それと同時に、男のボスのあしらい方など、仕事のコツも学んでいく。AKのもう1人のルームメイト・ジュリエット(ヴィッキー・マクルア)の夢は、アフリカに渡り、恵まれない子供たちを助けることだ。今は近所の薬局のカウンターで働きながら、旅立つ日のために棚から薬を盗んでいる。しかし雇用主のインド人・サーディープ(インダー・マノチャ)は、口うるさい妻やたくさんの子供たちのいる現実から逃避するために彼女への性的好奇心でいっぱいで、薬がなくなっていることに気づかない。AK、ホリー、ジュリエットは助け合って生きているが、AKが何かとウクライナの格言を持ち出すことに女性たちはうんざりしていた。しかしアパートの階下に住む盲目のフリン教授(リチャード・E・グラント)は、AKの格言を喜んで受け入れていた。かつて作家や詩人として名声を得ていた教授は視力を失ってから創作意欲をなくして、世捨て人のような生活を送っている。彼の代わりに買い物をして小銭を稼いでいるAKは、教授の本棚で『ワンダーラスト・キング』という彼の著書を見つける。“究極の美女を探し求めて世界中を旅する欲望の王”という言葉に触発されたAKは、教授の才能を音楽に乗せて伝えようと試みる。