「アラトリステ」のストーリー
17世紀初頭のスペインは欧州の強国であったが、アルマダの海戦で大英帝国軍に敗れてから、勢力は衰退しつつあった。国王フェリペ4世は寵臣オリバーレス伯爵(ハヴィエル・カマラ)に国政を任せていたが、国内外で様々な問題が持ち上がっていた。1622年、マドリード最強の剣客ディエゴ・アラトリステ(ヴィゴ・モーテンセン)は国王の傭兵としてフランドルの戦場に赴き、友人のグアダルメディーナ伯爵(エドゥアルド・ノリエガ)の命を救う。1年後、マドリードに戻ったアラトリステの元に、英国から来る2人の異端者を殺せと言う依頼が舞い込む。それは英国皇太子チャールズを抹殺するため、異端審問官ボカネグラと国王秘書官アルケサルが仕掛けた謀略だった。アラトリステは不穏な空気に気づき、寸前で暗殺を思い止まる。この事件からアラトリステは、アルケサルとその部下の殺し屋マラテスタに狙われ、オリバーレス伯爵から監視されるようになる。アラトリステは、フランドルで戦死した仲間の息子イニゴを引き取って育てていた。ある日イニゴはアンヘリカという美少女と出会い、恋心を抱く。アンヘリカはアルケサルの姪で、アラトリステの失脚を狙うため、イニゴを誘惑するよう差し向けられていたのだ。一方アラトリステは、旧知の女優で人妻のマリア(アリアドナ・ヒル)と3年ぶりに再会し、愛を交わす。1625年、アラトリステは、オランダ軍の要塞都市ブレダを陥落させる戦いで活躍する。10年後、グアダルメディーナ伯爵の指令で国王の金塊を奪還するため、アラトリステはフランドル船に乗り込む。そこで殺し屋マラテスタと対決し、返り討ちにする。アラトリステは、夫が余命幾ばくもないマリアと人生を歩む決意し、愛の証として美しい首飾りを贈ろうとする。成長したイニゴ(ウナクス・ウガルデ)はアンヘリカ(エレナ・アナヤ)と再会し、イタリアへの駆け落ちを誓う。しかしアラトリステとイニゴの愛は宮廷の思惑によって引き裂かれ、彼らは壮絶な運命を辿っていく。