「最後の谷」のストーリー
30年戦争が始まって23年目、所はドイツ。元教師、今は亡命者として流れつづけているボーゲル(オマー・シャリフ)はやっと荒れ果てた集落に辿り着いた。物乞いをして断られた彼が去ろうとすると、突然多数の外国人傭兵が馬に乗って襲ってきた。たちまち修羅場と化した村から逃れたボーゲルは、林の中に転がった死体に触れた瞬間に、その死体がペストに侵されているのを知り、とっさに火に手を突っ込んで消毒した。駆け出した彼の目の前に美しい盆地が開け、果樹園と麦畑の間に小さな村があり、疲れ果てた彼は小屋の中で眠りに落ちた。寝ている間に村に侵入した傭兵に起こされ、隊長(マイケル・ケイン)の前に引きすえられたボーゲルは、村には十分食糧もあり、春がくるまで村に駐留して、村を外敵から守ってやるほうが彼らにとっても得策だと説得した。隊長は長年の戦闘にうんざりしており、意外にあっさり承認した。ボーゲルは村長のグルーバー(ナイジェル・ダベンポート)を訪ね、自分の提案を伝え、村長も了解した。まもなくペストにかかっていたボーゲルは床に臥したが、若くて純真な娘インゲ(マデリーン・ハインド)の手厚い看護で命をとりとめた。隊長がグルーバーの妻エリカ(フロリンダ・ボルカン)に気があるのを知ると、グルーバーはいさぎよく譲った。またマリヤの像の場所を移そうとした隊長に、信心深い村人たちが騒ぎ出し、すんでのところでボーゲルの機転が働き、ことなきを得た。ある日、インゲを犯そうとして規則にふれた傭兵のハイセンが、同僚2人とともに反乱を起こし、隊長闇討ちに失敗して脱走した。ハンセンらの逆襲を警戒した村はバリケードを築き、援軍をつれて攻めてきた脱走者たちを撃破した。村には再び平和が訪れ、再開された戦争に傭兵たちは出陣していった。役目を終えたと知ったボーゲルが村を出ようとしたとき、戦いで重傷を負った隊長がエリカを求めて村にもどるところに出会った。馬からくずれ落ちた隊長はインゲの腕の中で息を引き取り、ボーゲルは一緒についていくというインゲをおいて、1人で旅立っていった。