「陽気な天使」のストーリー
牧師の娘泉ゆかりは日本のベティ・ハットンをめざすスウィング好きの少女だが、彼女の陽気な歌に教会の聖歌隊全員が感染してゆくのを聖歌隊の教師白石先生は喜ばない。神の使徒として厳粛をのぞむのである。父泉牧師は、母のないゆかりをのびのびと育てたい希いから、スウィングもまた結構、という立場である。ある日、ゆかりと同じく母のない貧しい兄弟が教会を訪れ、弟の誕生日のお祈りをしたいという。その日は礼拝のない日だったが、ゆかりは特別にお祈りをあげてやったばかりか、今晩坊やのために誕生祝い祝いをしてあげる、と約束する。一方、泉牧師は会堂の中でオルガンのスウィングが鳴っているのを聴き、てっきりゆかりだと思うが、その実は白石先生だった。彼女もひそかなスウィング・ファンなのである。しかし聖歌隊の練習所に立ち帰った先生は、やはりゆかりのスウィングをこっぴどくたしなめる。--が、泉牧師から今夜の誕生祝いの計画をきかされて、彼女はゆかりの真心に感動した。その夜。--ゆかりが貧しいながらも心をこめた食卓をしつらえ、兄弟を迎えに出たあと、白石先生は新たに豪華な祝宴の仕度をした。やがてお祝いの席上で陽気に歌うゆかりのスウィングを、牧師も兄弟も聖歌隊員も、そして白石先生もまたたのしげに聴きほれた。