「狂熱の季節」のストーリー
二人の少年、明と勝が少年鑑別所の門を出た。外は真夏だった。車を盗み出した二人は、ユキをさがして繁華街を飛ばした。ユキは外国人相手のパンパンで、明とは古いつき合いだった。白人を連れ立ったユキをみつけると、二人はホテルにパトカーを呼んだ。寸前、ユキは白人の財布を持って逃げ出した。その金で三人は海に向かった。海岸で明は一組のアベックに目をとめた。明を鑑別所に送り込んだ新聞記者の柏木と恋人の文子だった。柏木を倒すと、明は文子を草むらの中で犯した。車を売った金で三人は安アパートを借りた。勝とユキは愛し合った。バーで明がビート・ジャズに酔っていると、文子が妊娠を知らせて来た。柏木の変らない愛情が苦しい、と文子は言った。勝は土地のやくざ、関東組に入った。ユキと世帯をもちたいからだった。文子は明に、柏木を汚してくれと頼んだ。傍のユキがニヤリと笑った。ユキは柏木を誘惑し、妊娠した。勝は怒らなかった。関東組の幹部になって楽をさせてやると慰めた。夜、明は文子のアトリエに入った。文子と柏木が帰って来た。精神的な平等を得た二人は幸福そうだった。明の姿を見た文子の心に、殺意が湧いた。事故を装って眠っている明をガス死させようとした。しかし二人の出ていった後、明は何事もなく目覚めた。明がアパートに帰ると、血だらけの勝がかけこんで来た。やくざのボスを殺して幹部になった、と叫びながら勝は死んだ。ユキは子供を始末することにした。明とユキが医者をたずねると、柏木と文子に会った。突然、明は青ざめる柏木にユキをおしつけ、文子を自分の方に引き寄せた。狂ったように笑う明とユキ、硬直したように立ちつくす柏木と文子、そのまんなかには、現代の虚無がビート・ジャズにのって吹きまくる。