「ニュー・エイジ」のストーリー
タレント・エージェントのピーター(ピーター・ウェラー)とグラフィック・デザイナーのキャサリン(ジュディ・デイヴィス)のウィットナー夫婦はビバリーヒルズの豪邸に住み、お気に入りの家具と美術品に囲まれたリッチな生活を満喫している。夫婦仲は冷えきっていたが、互いに無関心を装うことでかろうじて安定を保っていた。折からの不況でキャサリンは仕事を失い、ピーターも衝動的に会社を辞める。つのる経済的な不安に半ばやけになって開いたパーティーの夜、ピーターはベルギーから来た導士ジャンに精神的な弱さを指摘され、ゲストのミーシャと浮気して朝帰りしたキャサリンに口論を吹っ掛ける。それに対し、彼女は家庭内別居を申し出た。キャサリンはミーシャと、ピーターも愛人アリソンと公然と情事を重ね、今や夫婦は離婚する資金がないという理由だけで結びついていた。そうこうするうちにも金は底を尽き、破産まであと一ヵ月というところまで追い詰められる。二人は起死回生を賭け、「ヒップな上流階級」をターゲットにした高級指向のブティック“ヒポクラシー”をオープンした。だが、根っから商売に不向きな二人ゆえ、たちまち客足は途絶える。父親ジェフ(アダム・ウェスト)への借金もままならず、ピーターは自殺願望まで口にする。たまりかねたキャサリンは、ジャンが山中に開いた道場に出向いた時に遭遇した突然の砂嵐に、神の啓示を受けたようになり、ピーターとの関係に決着をつける決意をする。店は閉店し、家も抵当入りして文字どおり裸一貫になったピーターは、詐欺まがいの電話セールスの仕事に就く。ボスのデイル(サミュエル・L・ジャクソン)の叱咤激励を受け、どうにか初契約を取り付けるが、プライドの高い彼は屈辱を覚える。帰宅したピーターを、心中のお膳立てを整えたキャサリンが待っており、全てに疲れた彼は「死が二人を分かつまで…」と囁く彼女と共に睡眠薬を飲む。薬は致死量に達しておらず、生き延びた二人は別れた。キャサリンはさらに精神世界に傾倒し、ピーターはあの電話セールスに邁進するのだった。