「ドンファン(1995)」のストーリー
引退を間近に控えた優秀な精神科医ジャック(マーロン・ブランド)の元に、ビルの屋上から飛び下り自殺を図ろうとした青年(ジョニー・デップ)が引き渡された。本名も住所も過去も分からず、仮面とマントと剣まで携えて時代錯誤も甚だしい青年は「私の名はドンファン・デマルコ。愛の貴公子」と語り、不思議な愛の遍歴を語り始めた。メキシコで生まれた彼は、尼僧も恋するほどの美貌の持ち主。16歳で初めて恋したドンナ・フリア(タリサ・ソト)は人妻で、彼女の浮気を知った夫は、復讐のためドンファンの母ドンナ・イネス(レイチェル・ティコティン)との不倫を言いふらす。母の名誉を守るため、父は決闘を申し込み、相手の剣に倒れた。とっさに父の仇を剣で突き殺したドンファンは、わが身の恥を隠すため仮面をつけ、人前では決して外さないと誓う。悲しんだ母は、修道院に入った。彼が21歳で命を絶とうとしたのは、初めて心から愛した女性ドンナ・アナを失ったからだ。故郷を去った彼はアラビアへと渡り、奴隷として買われた王妃の寵愛を受けたばかりか、1500人のハーレムの女たちから数々の愛のテクニックを教え込まれた。青年の物語にいつしか引き込まれていたジャックは、彼の言葉に刺激を受け、長年連れ添った妻マリリンへの忘れかけた愛を取り戻した。セラピー半ばの日。警察から、青年の素性がクイーンズ地区に住むジョニー・デマルコであることを聞かされたジャックは青年の祖母を訪ねるが、ピンナップガールに恋した青年の夢物語にすぎないことを知り、愕然となる。だが、連絡を受けた母親は彼の言葉どおり尼僧姿で現れ、「あなたの真実は、あなたの心の中にあります」とジャックに告げた。再び青年の物語は続く。彼は漂着した島でドンナ・アナ(ジェラルディン・ペラス)と激しい恋に落ちた。だが、自分がドンファンの1502人目の女性であることを知った彼女は嘆き悲しみ、姿を消してしまった。ジャックは彼の話を信じたが、周囲はそうはいかず、ついに青年は審問会にかけられることに。当日、青年は審問官に、クイーンズで生まれ、ピンナップガールに失恋した過去を語り、退院を許可された。現役を引退したジャックとマリリンはドンファンを連れ、ドンナ・アナの永遠の誓いを確かめるために、愛の世界“エロス島”に向かう。やはりドンナ・アナはいた。ジャックとマリアンは、かつてのように情熱的にダンスに興じるのだった。