「デンバーに死す時」のストーリー
デンバー。街角のアイスクリーム・ショップでおしゃべりな老人ヘフ(ジャック・ウォーデン)が話し始める物語……。遺言ビデオの製作会社の経営者で、かつては非情なギャングだった“聖人”ことジミー(アンディ・ガルシア)は、車椅子の身となった以前のボス(クリストファー・ウォーケン)に呼び出されて、奇妙な仕事を命令される。恋人にふられたショックで幼女暴行未遂を犯すなど、情緒不安定になった彼の息子バーナード(マイケル・ニコロッシ)のために一肌脱げというのだ。事業が火の車で金が必要なジミーは、かつての気心の知れた仲間を呼び集める。ポルノ映画館の映写技師のピーシーズ(クリストファー・ロイド)、妻子を抱えてトレーラーハウスの営業で食っているフランチャイズ(ウィリアム・フォーサイス)、葬儀屋で死体をサンドバッグにしているイカレ者のクリティカル・ビル(トリート・ウィリアムズ)、黒人のイージー・ウィンド(ビル・ナン)の4人の仲間に、ジミーは仕事の内容を説明した。バーナードを裏切った元恋人メグに言い寄って婚約した歯科医の青年ブルース(ジョシュ・チャールズ)を脅して追い返せばいいのだ。報酬は5万ドルで、ひとり1万ドルの取り分。割のいい話に落ちぶれた仲間たちは乗った。街のバーで見初めた美女ダグニー(ガブリエル・アンウォー)とのデートで安らぎを見いだすジミー。作戦決行の日。折からの雨の中、ブルースの車を警官に化けたピーシーズとビルが停車させた。ところがブルースに偽者と見破られ、ピーシーズの不具の指を嘲笑されたビルは錯乱、彼をメッタ刺しに。あげくは駆けつけた元恋人をピーシーズが射殺してしまうという最悪の事態に。ボスはこの失敗を許さず、仲間たちに“血の処刑”を宣告。ひとりだけ命は許され、48時間以内に街から追放と宣告されたジミーは、自分の命もかえりみず、仲間を逃がそうと奔走。しかし、南部から呼ばれた名うての殺し屋ミスター・シー(スティーヴ・ブシェーミ)が非情にも仲間を血祭りにあげていく。ダグニーに危険が及ぶ前に、ジミーは復讐のため、バーナードを連れ出して殺した。ジミーはビルと相討ちで死んだミスター・シーの代りに呼ばれた殺し屋モンティレズ兄弟に射殺された。ジミーは死んだが、ボスは息子の死を知って廃人同様になった……。かくして、ジミーたちはヘフの話の中で生き続けているのだ。