「海の狼(1930)」のストーリー

帆船ゴースト号の船長ウルフ・ラーセンは海の狼と綽名される乱暴者であった。彼はアリューシアン群島へ海豹狩に赴く前晩日本の函館港の魔窟で遊んでいた。とある妓楼で彼はローナ・マーシュという白人の美女に遭って一緒に船に来いと云ったが、ローナは嫌がって妾の好きなのはあんな人よ、と碌でなしの若者アレン・ランドを指さした。袖にされて怒ったウルフが憤った途端、彼の兄弟でしかも仇敵の如く憎み合っている「死神」ラーセンがやって来た。兄弟が大乱闘をしている間にローナはランドと共に逃れた。ところがランドはウルフの二の腕、運転士スモークに誘拐されて水夫としてゴースト号で働かされることになったと聞いたローナはウルフの乞いを承諾してゴースト号に乗った。ウルフは力を見せるためにランドを虐待したが、ランドはひるまず男らしく振舞ったのでローナの心は益々ウルフを離れランドを慕うようになる。暴虐なウルフはコックが掃除の仕方が足りないといって船尾に縛りつけたので不幸なコックは足を鱶に噛切られる。此の残忍さに憤激した船員は暴動を起してウルフとスモークとを海に投込んだ。併しウルフは泳ぎ帰って来た。ランドはローナと共に介抱してやったので喜んだウルフはランドをスモークの後任として運転士に取立てた。がローナが何時迄経っても色よい返事をしないのでウルフは遂に彼女に暴行を加えようとした。ランドはウルフにうち掛ったが力及ばず僕倒されてしまった。折柄死神ラーセンが乗込んでいる同型の帆船マセドニア号がゴースト号に迫って来たので、ローナとランドは危難を免れ、立ちこめて来た濃霧にまぎれてボートを降して漂流した。生死の境をさまようこと数日2人は帆船に出遭った。それこそゴースト号で乗船して見ると瀕死のウルフが唯1人横たわっていた。ウルフは死神ラーセンにぶちのめされ、コックのために眼をえぐり取られていたのだった。やがて絶命したウルフを水葬して若き2人は故国に向って帆をあげたのである。