「12か月の未来図」のストーリー

フランスの名門アンリ4世高校で国語を教えるベテラン教師フランソワ・フーコー(ドゥニ・ポダリデス)。父は国民的作家、妹は彫金作家として活躍する知的なブルジョア一家に育ってきた。ある日、フランソワはパリ郊外の教育優先地域にあるバルバラ中学校へ1年間限定で派遣されることに。燃えつきた廃車、草むらから現れる謎の人物、真っ昼間から団地の空き地にたむろする若者たち……。荒廃した光景に怯えながら、フランソワは赴任先へと足を踏み入れる。そこでは、生徒たちは教師への敬意など全くなく大声でしゃべり続け、若手教師たちは、問題児はさっさと退学させればいいと軽蔑の笑みを浮かべる。初めて担当した授業で、挨拶がわりの書き取りテストを行うが結果は惨憺たるもので、初日から想像以上の問題の山にフランソワは価値観を覆される。エリート校でいわゆる生粋のフランス人を相手にしてきたフランソワにとって、様々なルーツを持つ生徒たちの名前を正確に読み上げるのも一苦労。カルチャーショックに打ちのめされながら、フランソワはベテラン教師の意地で生徒たちの名前と顔を一晩で記憶しようと取り組むのだった。クラスの問題児は、反抗的でお調子者のセドゥ(アブドゥライエ・ディアロ)。トラブルを繰り返すセドゥは、教師の間では退学候補者のひとりとして目をつけられていたが、実はセドゥは母親が病気で、不安定な心を抱えていた。もしセドゥが学校を中退させられたら、一生社会から落ちこぼれ這い上がることは不可能だと感じたフランソワは、強い使命感と父性に駆られ、彼の行動を見守るようになる。移民、貧困、保護者の無関心、不幸な環境の中で過ごしてきた彼らに、前任校と同じ指導は通用しないと悟ったフランソワは、生徒自身が自らの能力と未来を信じられるようにと意識改革を開始。勉強しても意味がないと無力感の塊だった生徒たちは、フランソワの熱意ある指導で知的好奇心と自信を取り戻し、『レ・ミゼラブル』全編を読み込むほど成長を見せ始める。他の教科でもクラス全体の成績が上がるなど“フランソワ効果”はてきめんで、生徒の心を掴めず苦しんでいた社会教師のクロエ(ポリーヌ・ユリュゲン)は、フランソワに尊敬以上の感情を抱くようになっていた。そんなある日、遠足で訪れたベルサイユ宮殿でセドゥがトラブルを起こしてしまう。指導評議会で猶予なしの退学を宣告されるセドゥ。フランソワは大切な教え子の未来を守るため、事なかれ主義の校長と戦うことを決意する……。