「新婚第一年」のストーリー

トム・タッカーは心に思っていることの半分も口に出しては言えないはにかみ屋だったので、首ったけ惚れ込んだグレース・リビングストンにも胸の思いを打明け兼ねた。ところが彼の恋仇たるディック・ロアリングは厚かましい男でしきりにグレースの機嫌を取ろうとトムを尻目に如才なく立回った。しかしたで食う虫の諺通りトム贔屓のグレースの叔父ドクトル・マイロンは姪の意中を感知してトムを励ましたので思い切ってトムは彼女に結婚を申込んだ。するとドクトルのお眼鏡通りことは運んで2人はお芽出度くなり水も漏らさぬ新婚生活に入った。けれどもトムが貯蓄の全部を投じて土地を買うとグレースは大反対を唱えた。しかし思いがけなくその土地に鉄道が敷設されるとの噂が起ち俄かに地価が暴騰して、トムの買込んだ土地が10万ドルに売れるというのでグレースもひとまず機嫌を直したが、恋に破れたディックがトムの土地には鉄道は通らぬと茶々を入れた。そのため買主は手を引いてしまったのでグレースは亭主を見限って里に戻った。ディックのでたらめが判った買主は改めて12万5000ドルでトムの土地を買ったので、トムは俄分限者となったが愛する女房に去られては余り楽しいものではなかった。グレースの方でも女心の浅はかだったことを悔やんだが今更トムの許へノメノメと帰りも成らず悶々の日を送らねばならなかった。好機御参なれとディックはグレースに言寄ったが肘鉄砲を食らって引下がった。始終の様子を見ていたドクトル・マイロンは己の出場は今ぞとトムとグレースの間を調停して別れた夫婦を元の鞘に納めた。