「カヴァルケード」のストーリー

英国の名門の流れをくむマリヨット家の当主ロバートは愛妻ジェーンとエドワード、ジョーイの2人の息子を残して1900年に勃発したボーア戦争に出征した。マリヨット家の侍僕アルフレッドも妻のエレンと娘ファニーと別れて、ロバートの従卒として南アフリカの戦地へ向かった。ロバートは各所に転戦してついに英軍をマフェキングの篭城より救し、輝かしい勲功をたて、凱旋と同時に貴族に列せられた。それから数十年が過ぎた。アルフレッドはボーア戦争後主家を辞してロンドンで酒場を営み、豊かな生活をしていた。だがやがてアルコール依存となり家族の厄介者となっていたが、ある時自動車事故で非業の最後を遂げてしまった。数年後、マリヨット家の長男エドワードは幼なじみのエディスと新婚旅行の船上にあった。2人の乗った船の名はタイタニック号という。さらに数年が過ぎ、アルフレッドの1人娘ファニーは英国が生んだ天才的舞踏家として名声を馳せていた。そうして陸軍中尉となったジョーイ・マリヨットと彼女はふとしたことから相愛の仲となった。それから間もなく世界大戦が起こり、ジョーイは父ロバートと共にフランス戦線に赴いた。時はめぐって1918年11月11日未曾有の大戦乱も終結を告げ平和の鐘は高らかに鳴り渡った。その日娘ファニーと旧主家の2男ジョーイ中尉との恋愛関係を知ったエレンはマリヨット家を訪れて2人の結婚のことを相談した。ジェーン・マリヨットは2人が愛し合っているならば2人の心任せにしたがいいと答えたが、その折1通の電報はジョーの名誉の戦死を伝えて来た。その夜歓喜に酔う群集の中で、ジェーンは涙と微笑みの裡に世界平和のために黙祷を捧げていた。それからさらに時は流れて1932年12月31日の夜、愛人ジョーイを失ったファニーはあるナイト倶楽部で「20世紀の憂鬱」という悲歌を歌っていた。満場声無く人々は涙を浮かべて聞き入っていた。二人の愛児に先立たれたマリヨット老夫婦は越年の乾盃を静かに挙げていた。彼らの心はいとも淋しかった。だが愛児が払った犠牲で今日の平和がもたらされたことを想到して、二人は満足の微笑みを洩らすのであった。