「GINAGINA ぎなぎな」のストーリー

コロナ禍は終息の気配を見せず、世間の“withコロナ”の気配には諦めと憤懣がうっすらと、だが確実に入り混じってきた頃。業界の流れに乗り、俳優の木村誠(高川裕也)も一念発起して補助金や助成金を元に、小さな映画を作り始める。それは、木村にとってこれまで続けてきた俳優という生業に対するひとつのケジメでもあった。懇意にしている仲間やスタッフを集め、主役には仲の良い後輩・恵介(元気屋エイジ)を据える。ところが、肝心のアクションシーンで恵介に三ヶ月の重傷を負わせてしまう。恵介のマネージャー・牧からは、やんわりと損害賠償を持ちかけられるが、最後の頼みの生活補助金も却下の通知が届き、木村は撮影延期を決断。それが事実上中止を意味する事はスタッフも承知していた。時を同じくして、娘のアサミ(永宝千晶)から久し振りに連絡が入る。離婚も近いと思っていた亭主との間に子どもができたという報告だった。しかも、産んで一人で育てるという。金策に悩む木村は、初めて中学の同窓会に出席する。それは、何らかの縁を期待したためだったのかもしれなかった。学年のマドンナ的存在だった雪乃(八十川真由野)と再会し、旧交を温めていると、彼女は木村の映画に出資すると言い出す。あるいは、故郷に戻って自分の会社で雇ってもいいという。しかも、”これは復讐なのだ“という謎の言葉と共に……。東京に戻った木村はスタッフを集め、恵介の回復を待って撮影を再開する事を約束する。そして恵介にもアサミにも、木村は一つの決意を持ちかける……。