「ドキュメンタリー映画 岡本太郎の沖縄 完全版」のストーリー

岡本太郎が撮影した50年以上前の沖縄の写真がある。彼は2週間あまりの旅で、数百枚におよぶ見事な写真を残していた(1959年11月16日~12月3日/1966年12月24日~30日)。那覇の市場、首里の坂道、竹富島のおばあさんとおじいさん、石垣島の山羊を屠り焼くのを待つ笑顔の人びと、読谷の闘牛、喜如嘉のおばあ、糸満のうみんちゅ(漁師)、そして久高島……。知らないのになつかしい、いのちのやさしさを感じる、そんな写真である。だが、現在の沖縄は、太郎の時代とは違う。アジアからの観光客で溢れかえる那覇市国際通り。タクシーの運転手は、今の沖縄の状況に憂いをみせる。アジアの某国は沖縄でホテルを買い漁り、本土のお客は基地と観光にだけ注目して沖縄を分かったつもりでいるのだという。昔ながらの沖縄の風景がどんどん消滅してゆく。もはや戦前の沖縄が残る沖縄らしい場所とは、皮肉にも誰も手出しができない基地の中だけになっていた。しかし、その基地をとりまく問題は収まらない。沖縄返還から50年経った今でも……。太郎の写真と同じ場所に行き、同じ風景を訪ねる。失われたもの、何もかも変わってしまったもの、変わっていこうとしているもの、そして、変わらないものを見つめ、太郎が発見した沖縄と日本を再発見する。

今日は映画何の日?

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