「生きる FROM NAGASAKI」のストーリー

1945年8月9日11時2分、広島に続き長崎も原爆投下の惨劇に見舞われた。多くの犠牲者が出たなか、生き残った人もたくさんいる。『長崎の鐘』の作者で医学博士の永井隆と一緒に救護活動を行った女性も健在であるが、年月とともに変化が現れてきた。終戦直後、家に立ち寄ったアメリカ兵にオルガンを弾くように言われ、演奏した少年がいた。彼らは毎日のようにやってきて、『きよしこの夜』を歌っていた。いつしか彼らとのコミュニティができ上がり、ある将官が妹を自分の娘にしたいと言い出した。その少年だった武立進一は、その思いを蘇らせるため、とある教会に向かう。被爆者のなかには、いまだに被爆体験を話してこなかった者もいる。原爆の事実が風化されつつあることが、ある家族のやり取りでも見られた。団らんのなか、原爆を知らない親戚に「当事者の気持ちがわからんか!」と叱責したことを思い出す被爆者もいる。そして、多くの者が、皆に支えられて生きてきたと言う。差別や偏見がある一方、支え合う人々の思いも存在し、それぞれの生きてきた思いが綴られる。