「パレスチナのピアニスト」のストーリー

プロのピアニストを夢見るモハメド・“ミシャ”・アーシェイクは才能ある10代のピアニスト。ピアノを始めてわずか3年後には国際ピアノコンクールで優勝を果たした。それも一日3、4時間という限られた練習時間で。練習時間が少ないのは、彼が住んでいる場所が特殊な場所だからだ。ミシャの父はパレスチナ人、母はロシア人で、一家はイスラエルと紛争を抱えているヨルダン川西岸地区中部のパレスチナ自治区ラマッラに住んでいる。ミシャのピアノの先生はロシア出身のユダヤ系イスラエル人。先生が住むエルサレムまでは車で1時間の距離だが、途中でイスラエルがパレスチナとの境界に設置しているカランディア検問所を通らなければならないので、たっぷり3時間はかかる。しかも、政情不安があれば、しばしば検問所は閉じられてしまう。決して恵まれた環境ではないなか、ミシャはパレスチナ、イスラエル、ロシアを行き来しながら次第に才能を開花させてゆく。将来は医師になれという父からのプレッシャー、自由に行き来できない国境、そしてコロナ禍という障害が加わるも、ミシャはピアニストとして幸せな人生を生きる夢を叶えるために挑戦を重ねていく。