「楽天奇術師」のストーリー

ウィズ・オブライエンは二流どこの寄席に出る奇術師で、目新しくもない陳腐な手品を使うだけなので田舎町のお客でも余り面白いとは思わなかった。彼の奇術で唯一の取柄は彼の助手の美しいメリーだった。メリーは愛敬もあり素晴らしい脚の持ち主で、一流のダンサーになりたいと望んでいる位なので、彼女が軽い足どりで舞台に現れるだけでお客を満足させることが出来た。しかしメリーはウィズに惚れているので、ウィズがブロードウェイの一流寄席へ出る契約が出来たら結婚しようというのを本当にあてにして楽しみにしていた。同じ寄席でレビュー式のダンスを演っているフレッド・マレイはメリーに恋想していて彼女にダンス才があるのを奇貨とし、奇術の助手なんか止めて自分のダンスに出演せよと勧めた。彼女はマレイが大嫌いだったがダンスには少なからず心を惹かれた。そのうちに夏が来て二流三流の寄席は休業するものが売出しウィズは仕事にあぶれて幾週間か下宿屋で空腹を忍んでいなければならなかった。その上部屋代が払えないので店立てを食いそうになった。折りも折りマレイからメリーの許へマレイの妻でパートナーのメイ・マディソンが病院に入ったので困るから代わりに来てくれと言って来た。メリーは承知した。その日ウィズの方にも数週間の契約が出来たが、ウィズはメリーが嬉しそうにマレイの相手をして踊っている舞台を見て嫉妬し、口論をした揚句メリーはマレイ一座のダンサーとなり、ウィズは他に助手を雇ってそれぞれ巡業に出た。ある町で病気の煩ったメイが突然現れたためメリーとマレイとの間に大騒動が起こり、メリーはおん出てしまいミルク・ホールの給仕になった。その町へウィズが巡業して来た時メリーは訪ねて行った。そしてウィズが助手が悪いために窮地に陥ってるのを知ったのでメリーは再びウィズの助手として働くことになった。