「アウステルリッツ」のストーリー

ベルリン郊外。真夏の陽光を背に吸い寄せられるように群衆が門を潜っていく。“Cool Story Bro”とプリントされたTシャツを着る青年。辺り構わずスマートフォンで記念撮影をする家族。誰かの消し忘れた携帯からは、ベートーヴェン交響曲第五番『運命』の着信音が鳴り響く。ここは第二次世界大戦中にホロコーストで多くのユダヤ人が虐殺された元強制収容所だ。戦後75年、記憶を社会で共有し、未来へ繋げる試みはツーリズムと化していた。私たちは、自らの過去にどのように触れればいいのだろうか。ドイツ人小説家・W.G.ゼーバルト著書『アウステルリッツ』に着想を得て製作されたダーク・ツーリズムのオブザベーショナル映画。