「アンダー・ユア・ベッド(2019)」のストーリー

三井直人(高良健吾)は雨の日の無人のエレベーターに残る香水の香りを嗅いで、ある女性のことを思い出した。今から11年前、親からも学校のクラスメイトからも誰からも名前すら覚えられたことのない自分を、大学の講義中に「三井くん」と名前を呼んでくれた佐々木千尋(西川可奈子)のことだ。講義後に千尋を喫茶店に誘い、彼女が好きだというマンデリンのコーヒーを飲み、飼育しているグッピーを分けてあげる話をした、人生で唯一幸せだったこの時を思い出した三井は、もう一度名前を呼ばれたい一心で、現在の彼女の自宅を探し出し、近くにいられるよう引っ越し、観賞魚店をオープンさせた。しかし、三井の前に現れた千尋にかつてのキラキラとした眩しい面影はなく、今にも消え入りそうな虚ろな表情の変わり果てた姿になっていた。数日後、店を訪れた千尋は三井のことは覚えていなかったが、“グッピーを飼育する”という絶好の機会を得る。その日以降、三井は無断で千尋の家の合鍵を作り、留守を見計らい定期的に潜入し、寝室のベッドに盗聴器を仕掛ける。さらに窓越しに望遠レンズで盗撮し、毎日千尋を監視するようになるが、千尋は夫・浜崎健太郎(安部賢一)による激しいDVを受けていたことが判明する……。