「嘘つきお嬢さん」のストーリー

今世紀の初めのこと。ボストンの旧家を誇るチャンドラー家の当主ジョナサンはある日大変なことを耳にした。ニューヨークに音楽修行に行っている姪アビゲイルが、処もあろうにパワリイの下等なキャバレーで肉体ショーに出演しているというのである。仰天したジョナサンは妻とアビゲイルの姉マーサをつれて、ニューヨークに出張した。オペラ歌手志望のアビゲイルは、伯父のわずかな仕送りではピアノを習うのがせいぜいで、やむなくキャバレー「金の鳥」で歌と踊りの看板芸人となっている。しかし事実をいえばボストンに連れもどされるので、オペラに出演しているとウソをつくと、疑い深い伯父はオペラを見に行くという。マーサは何かあると思い、「金の鳥」へ独りで行き、妹のあられもない姿のポスターを見て気絶してしまう。アビゲイルの相手役スパイクはマーサを介抱してアビゲイルのアパートへ連れて行く。オペラ座出演の交渉に失敗したアビゲイルが帰ってくると、スパイクはアビゲイル共々オペラ座へ出掛け、彼女がオペラの金主パタアスンの愛人であるかのようにホノメかし、舞台監督から彼女にコーラス・ガールの役をもらってやる。舞台で主役のオルストロムの熱演中、そのカン高い声を張りあげた彼女は追い出されてしまう。しかし姪の声を聞いたジョナサン夫婦は、マーサを残しボストンへ帰った。オルストロムを怒らせては、オペラ座出演も絶望だと悲しむ妹のために、マーサはパタアスンに面会に行ったが留守であった。そこで息子のロォレンスに会い妹のことを頼むと、彼はアビゲイルが父の囲い者といったので、マーサは気絶してしまう。彼女を介抱してアパートに送って来たロォレンスはアビゲイルに会ってみて、自分の誤解を悟り、姉妹を週末のパーティに招待する。パーティでアビゲイルの歌を聞いたパタアスンは感心したが、「金の鳥」の常連の一人リグリイがパタアスン家のパトラーだったので、彼女を指し「金の鳥」のスーイだと、酔っぱらって怒鳴った。妹を救うためにマーサはスージイは自分だと告白する。驚いたロォレンスは父母と共に、早速「金の鳥」に行ってみると、妹にかわってマーサがスージイとなって踊っていた。ロォレンスは席をけたてて立ち去ったがパタアスンはさすがに事情を察し、アビゲイルをオペラ歌手として契約する。オルストロムと争って肥満した主役女歌手が休演したので、アビゲイルがオルストロムの相手役として「マリイ・アントアネット」に出演することとなる。オルストロムと共に舞台に立ったアビゲイルは大成功で拍手かっさいを受けた。さ敷にはマーサとロォレンス、パタアスン夫妻と伯父のチャンドラー夫妻が、うれしげに舞台を見守っていた。