「月子」のストーリー

ある山間の町。仕事から帰ったタイチ(井之脇海)は、唯一の肉親である父(鈴木晋介)が首を吊って死んでいるのを見つける。荒んだ生活を送っていた父だったが、狭い町の中、タイチが父を殺したのではないかと疑われ、仕事を辞めさせられただけでなく、行き場所も失ってしまう。父をたったひとりで“骨”にした日、タイチは、施設から逃げ出してきた知的障がいの少女・月子(三浦透子)と出会う。月子は、どうやら生家に帰ろうとしては、何度も連れ戻されているらしい。その背中の傷から、施設で酷い扱いを受けているのではないかと感じ取ったタイチは、追ってくる施設の職員たちを振り切り、月子を彼女の親元まで連れて行こうとする。だが、分かっているのは彼女の生家が“海の音の聞こえる場所”ということだけであった。鳥の声に導かれるように、月子とタイチ、ふたりぼっちの旅が始まる……。