「メーン・イベント」のストーリー

ヒラリー・クレイマー(バーブラ・ストライサンド)は、別れた夫デビッド(ポール・サンド)を顧問弁護士にして香水会社を経営していた。ところが支配人が会社の全資産を横領して国外逃亡、会社は人手に渡ってしまう。彼女の手もとに残されたのはエディ“キッド・ナチュラル”スキャンロン(ライアン・オニール)なるボクサーとの間にかわされた契約書だけだった。早速、彼女はエディに会い、契約通りにリングにあがって借金を返してくれるよう交渉する。だが、今では自動車教習所の経営者におさまっているエディは、リングにあがる気などまるでなかった。裁判所に訴えると脅して、ヒラリーはとうとうエディにリング復帰を納得させる。最初の試合で、エディは相手の打つにまかせた。それを見てヒラリーががっかりし、計画を断念するだろうと思ったからだ。しかし彼女は逆に燃えあがり、大物プロモーターのガフ(ジェームズ・グレゴリー)に売り込むが、相手にされなかった。それでもヒラリーは挫けない。マネージャーのパーシー(ウィットマン・メーヨ)も及ばぬ身の入れようで、エディの女友達ドナ(パティ・ダーバンヴィル)はおもしろくない。ドナは彼女に警告し、彼女もエディとの仲は純粋にビジネスだけだと答えるが、内心ではほのかな愛情を抱きはじめていた。しかしエディと顔を合わせると相変らず喧嘩がち。ともかく初の大試合にこぎつける。相手は人食い人種という仇名の猛烈ボクサーだ。セコンドをつとめるヒラリーがへまのしどうしで、あげくのはてにゴングより先にリングにあがってTKO負け。リング上で、せっかくの勝ち試合を落したエディとヒラリーの乱闘が始まり観客は大喜び。これを見たガフが、ヒラリーをセコンドにつければ大受け間違いなしと考えて、チャンピオンとの試合をプロモートしようと持ち掛けてきた。前哨戦はヒラリーの奇襲が効を奏してKO勝ちを飾った。チャンピオンのヘクター(リチャード・ロースン)戦にそなえて、レイク・タホーでキャンプ入りしたエディは、ヒラリーの女としての魅力に気付き、2人は結ばれる。試合はエディの優勢のうちに進行。彼が勝てば借金を返され、2人の仲は終ってしまうと思ったヒラリーはタオルを投げる。観客の怒声と罵声の渦まくなかで、2人は固く抱き合うのだった。(ワーナー・ブラザース映画配給*1時間42分)