「ウエストワールド」のストーリー

大砂漠の中に造られた広大なレジャーランド「デロス」は、1980年頃のアメリカ開拓期西部の世界、13世紀ヨーロッパ中世の世界、帝政ローマの世界の3地区に分かれていて旅行客はそれぞれ好きな世界でその世界の一員として生活し、その世界独特の冒険やスリルを楽しむことができる。1日千ドルという豪勢な遊びだが、「デロス」行きのジェット・ホバークラフトは満員だった。シカゴの弁護士ピーター・マーティン(リチャード・ベンジャミン)とその友人ジョン・ブレイン(ジェームズ・ブロリン)もその中の一組だった。2人は「西部の世界」(ウエストワールド)を選び、ガンベルトをつけ、駅馬車で西部の町に乗り込んだ。サロンでは黒ずくめのガンマン(ユル・ブリンナー)に喧嘩を売られたが、簡単に射殺した。実は「デロス」の地上で動くものは、客のほかは人でも家畜でも実物と見分けがつかない精巧なロボットで、客には絶対に危害を加えないようにできていた。たとえば拳銃の弾丸も、体温に感応すれば飛び出さない。従って、マーティンの拳銃は相手のロボットガンマンを殺すことはできるが、ガンマンの拳銃は発射されない。また客同志が撃ち合っても相手を傷つけることはできなかった。客たちが好みの女と共に寝静まっている間に、地下のコントロール・センターでは技術者たちがロボットの部品取り替えや機能調整に追われている。その地下の1室の会議室では、最近ロボットの機能不調が増加していることについて話し合われていた。その夜明け、ブレインがヒゲをそり、マーティンが湯船につかっている時、例の黒ずくめのガンマンが突如出現した。マーティンが1弾を浴びせると、胸を撃ち抜かれたガンマンは息絶えた。この事件で、マーティンはシェリフに逮捕されたが、ブレインに救出された。しかし、2人は生き返ったガンマンに再び挑戦され、立ち向かったブレインが逆に射殺されてしまう。恐怖にかられたマーティンは無我夢中で逃げ出すが、ガンマンは大股に後を追ってくる。コントロール・センターは慌てて機能停止を命じるが、電気回路が狂い地上の3つの世界では暴力と死の混乱が激化するばかりであった。やがて、この混乱は地下にまで波及していった。一方、マーティンはコントロール・センターに逃げ込むが、技術者たちが全員死んでいるのを発見し、ぼう然とする。彼は、燃えさかるタイマツの光に邪魔され、視力センサーが衰えたガンマンに向かって、さらに火を浴びせた。ガンマンは一瞬で火ダルマとなり、燃え果てた。その時、助けを求める女の声を聴きつけ、地下牢に縛られている女を救出して水を与えるが、女はロボットだったのでたちまち動かなくなってしまった。精も根も尽き果てたマーティンが、がっくりと階段に腰を落としたとき、アナウンサーの声が聴こえてきた。「あなたのために素晴らしい休暇のプランを用意します!」