「ウインダミア夫人の扇」のストーリー

醜聞があったためにロンドン社交界を去って行方をくらましていたアーリン夫人は、再びロンドンに帰って来たが社交界は彼女をもちろん歓迎しなかった。その頃、ウィンダミア夫人の誕生日の祝宴が催されることを知ったアーリン夫人はウィンダミア卿に自分を招待してくれと頼んだ。卿は少なからず立腹したが、夫人は自分こそウィンダミア夫人の実母であると告げて卿を説き伏せることに成功した。卿はアーリン夫人を招待するようにと妻に言った。しかし、卿の友人であるダーリントン卿は、ウィンダミア夫人に懸想しており、密かに夫婦の間を裂こうと策を講じ、夫人に向かってウィンダミア卿がアーリン夫人に金を与えたことを告げた。夫人はアーリン夫人と夫の仲を疑い、怒って問題の女を招待することを拒んだ。ウィンダミア卿は止むを得ずアーリン夫人に断り状を出したが、彼女はそれにも拘らずウィンダミア夫人の誕生パーティーに出席したので、ウィンダミア夫人は激怒した。彼女はアーリン夫人の出現は、夫の自分に対する侮辱と裏切りと解して夫に復讐すべく、ダーリントン卿と駆落ちする決心をする。彼女はその夜、夫に書置きを残して一人ダーリントン卿の留守宅に赴いて、卿の帰宅を待つことにした。一方アーリン夫人はその愛嬌で昔の敵を魅惑し、なかでもオーガスタス卿は彼女を深く愛するようになった。ウィンダミア夫人が家出をしたと知ったアーリン夫人は、娘への愛情に目覚め、ウィンダミア卿に知られぬよう書置きを握り潰すと、後を追ってダーリントン卿の住居に出向き、ウィンダミア夫人に駆け落ちをやめるように説得した。アーリン夫人が夫の恋人であると信じているウィンダミア夫人は、聞く耳をもたない。2人が言い争っているところへダーリントン卿が、ウィンダミア卿やオーガスタス卿及び他の友達を伴って帰宅した。2人の夫人は物陰に隠れたが、ウィンダミア卿は妻の扇が腰掛けの上にあるのを見付けてダーリントン卿に詰問した。アーリン夫人は、娘の名誉を守るために、その扇は自分が間違えて持って来たのだと名乗り出た。その隙にウィンダミア夫人は密かに帰宅することができた。翌朝ウィンダミア卿夫妻が和解したところへアーリン夫人は扇を返しに来た。続いてオーガスタス卿も訪れてアーリン夫人と結婚する旨を語ったのだった。

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