「つむぐもの」のストーリー

福井県、越前。不遜で偏屈な性格の和紙職人・剛生(石倉三郎)は、妻を亡くして以来、誰とも心を通わせることなく生きていた。一方、韓国、扶余郡で暮らす無職のヨナ(キム・コッピ)は怠惰な生活を送り、人付き合いもうまくできず、人生の目標も見出せずに、空虚な思いを抱いていた。ある日、剛生が病魔に倒れ、半身まひで介護が必要になる。そこに、和紙づくりの手伝いと勘違いして来日したヨナが、ヘルパーとしてやってくる。頑固で偏見に満ちた剛生はヨナを受け入れようとせず、勝気な性格のヨナもまた剛生に反発し、二人はぶつかり合う。言葉も文化も価値観もまるで違うために介護もうまくいかないが、ヨナの常識にとらわれない介護は、次第に剛生の固く閉ざされた心を開いていく。やがて、介護の理想と現実の間で苦しむ介護士や、和紙職人の仲間たちなど、周囲の人物にも変化が生まれていく。いつしか剛生とヨナは人としての大切な心の結びつきを知っていくが、二人には過酷な運命が待ち受けていた……。