「一弗の入札」のストーリー

霧立ち罩めるケンタッキーの山奥に飲酒に荒んだ日を送るトビーは村人等の嘲笑の的となっている。彼の友は酒の密造者ディンクとその娘ネル唯2人。気の向いた時にはトビーはネルに読み書き等を教えていた。村人等の間には怠け者を入札にして、競落した人の許で1年間働かせるという昔ながらの習慣がある。遂にトビーは役人の手で入札に附せられた。たった1ドルで競り落としたのは美しの都の娘ヴァージニア。娘は伯父のデアー大佐をこの山奥に訪ねて来ていたのである。娘から嘲られたトビーは初めて覚醒した。彼の友ディンクは役人を殺したがその罪はトビーに被せられて危うく処刑されようとした時ネルの齎したディンクの自白書は彼を潔白なりと証明した。嘗ては弁護士であったトビーはディンクの弁護に努めて彼を放免せしめ、彼と2人山上の小屋へ住居を定める。ネルは教育を受くべく都の空へ。ヴァージニアはトビーの父なる老判事と山の住家を訪れる。